7/14(金)、千葉劇場にて。原題は『Alone In Berlin』で、直訳すると「ベルリンの中での孤立」になるだろうか。劇中、葉書などの書かれたものはドイツ語だが、会話はすべて英語。原作は、ドイツ人作家ハンス・ファラダのゲシュタポの記録文書を基に書かれた小説。日本では、みすず書房から『ベルリンに一人死す』として2014年に出版されている。わたしも、映画を観て原作を読みたくなり図書館に予約中。予約が多く、4番目なのでまだ時間がかかりそうだ。
1940年、戦勝に沸くドイツのベルリン。そんな中、ある平凡な夫婦の元に軍事郵便が届く。一人息子の戦死の知らせだった。国が全体主義に染まってゆく中で、夫婦は表面上軍国主義を装いつつ、ヒトラー政権を非難する文面をしたためたカードを書くことを決意する。そして死を覚悟しつつ、それを不特定な読み手に向け街の片隅に置き続ける。そんな反政府活動は、ゲシュタポや警察の執拗な追跡をかわしつつ3年に及ぼうとするが、遂には捜査の手が近づいてくる。
監督は、ヴァンサン・ペレーズ。職工長である夫役にブレンダン・グリーソン(アイルランド)、妻アンナ役にエマ・トンプソン。映画の中では、戦争中の雰囲気がよく再現されており、当時の「怖さ」が伝わってきた。それだけに、会話が英語なのが残念。また、劇中でオットーの勤め先である工場は、棺の生産に追われている。戦争の犠牲者が増え続けているためだ。そこにも政権側の報道とは矛盾する現実が、暗示されている。最後の場面、ゲシュタポのあまりの横暴さに嫌気がさした刑事は断頭台に向かうオットーに「なにか欲しいものはないか」と問いかける、オットーは「ペンとカードを」とだけ答え、背中を向けて去ってゆく。そして、その刑事は、その夜、夫婦の残したカードを窓から撒き散らして・・・。
77年前から始まる設定になっている映画だが、「昔はあんなことがあったんだなあ」として済ませる気にはなれなかった。むしろ、現在の国際状況は当時に似てきているような恐怖感がある。それが、この映画の製作意図あるいは動機にもなっているのだろう。観る価値のある映画、と感じた。
1940年、戦勝に沸くドイツのベルリン。そんな中、ある平凡な夫婦の元に軍事郵便が届く。一人息子の戦死の知らせだった。国が全体主義に染まってゆく中で、夫婦は表面上軍国主義を装いつつ、ヒトラー政権を非難する文面をしたためたカードを書くことを決意する。そして死を覚悟しつつ、それを不特定な読み手に向け街の片隅に置き続ける。そんな反政府活動は、ゲシュタポや警察の執拗な追跡をかわしつつ3年に及ぼうとするが、遂には捜査の手が近づいてくる。
監督は、ヴァンサン・ペレーズ。職工長である夫役にブレンダン・グリーソン(アイルランド)、妻アンナ役にエマ・トンプソン。映画の中では、戦争中の雰囲気がよく再現されており、当時の「怖さ」が伝わってきた。それだけに、会話が英語なのが残念。また、劇中でオットーの勤め先である工場は、棺の生産に追われている。戦争の犠牲者が増え続けているためだ。そこにも政権側の報道とは矛盾する現実が、暗示されている。最後の場面、ゲシュタポのあまりの横暴さに嫌気がさした刑事は断頭台に向かうオットーに「なにか欲しいものはないか」と問いかける、オットーは「ペンとカードを」とだけ答え、背中を向けて去ってゆく。そして、その刑事は、その夜、夫婦の残したカードを窓から撒き散らして・・・。
77年前から始まる設定になっている映画だが、「昔はあんなことがあったんだなあ」として済ませる気にはなれなかった。むしろ、現在の国際状況は当時に似てきているような恐怖感がある。それが、この映画の製作意図あるいは動機にもなっているのだろう。観る価値のある映画、と感じた。