文化逍遥。

良質な文化の紹介。

1967年ジョージア(グルジア)映画『大いなる緑の谷』

2018年10月20日 | 映画
 10/18(木)、神保町岩波ホールにて。



 50年以上前の白黒映画だが、テーマは少しも古くない。
 主人公の牧夫は、先祖から続く草原で素朴な牧畜を営み、先住民の文化・宗教をも受け継いでいる。洞窟の奥には天然ガスが噴き出し、絶えることなく岩の間から火が燃えさかる。そこには先住民が壁画を残し、火の光でそれらが浮かび上がっている。そこは、そこで暮らす者だけの秘密の場所なのだったが・・・近代化の波はその豊富な地下資源を見逃すことなく、やがて開発が進められてくる。

 清澄だった草原の空気や川の流れは汚染され、牛たちは病気になってゆく。それでも、牧夫はそこでしか生きられず、妻との距離が離れてゆく・・。

 設定されている時代は、やはり1960年代の後半くらいだろうか。日本では、東京オリンピックの後の高度経済成長期の頃だろう。やはり、公害が深刻な社会問題になってくる頃だ。そして、それは今でもそれほど良い方向へ向かっているとは感じられない。むしろ、世界的に見れば、より深刻化しれいるようにも感じられる。PM2.5やマイクロプラスチックなど、目に見えない汚染も広がっている。
 この日の岩波ホールは、入場者120人位だった。座席数の半分ほど埋まっていたが、多くの人に観てもらいたい作品と思った。

 

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