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わたしのレコード棚ーブルース137 Papa Harvey Hull

2021年06月14日 | わたしのレコード棚
 ヴォーカリストのパパ・ハーヴェイ・ハル(Papa Harvey Hull)に関しても、詳しいことはわかっていない。インターネットでも検索してみたが、具体的で詳しい資料は出てこなかった。

 
 イギリスのMATCHBOXというレーベルのLPでMSE201『Country Blues - The First Generation. Papa Harvey Hull & Long Cleve Reed, Richard "Rabbit" Brown. Complete Recordings』。A面が「パパ・ハーヴェイ・ハル&ロング・クリーブ・リード」の6曲で、ライナーノーツにはシカゴで1927年頃の録音となっている。B面には、すでにこのブログでも取り上げたリチャード・ブラウンの5曲を収録している。解説は、ポール・オリバーが書いている。
 ハルはバンドでの演奏で、パパ・ハーヴェイ・ハルのヴォーカル、ロング・クリーブ・リード(Long Cleve Reed)のヴォーカルとハミング及びギター、ウィルソン(Wilson)のギター、という編成でクレジットされている。

 演奏を聴く限りでは、3人でミンストレルショーやメディシンショー、さらにはハウスパーティーなどで活動していたと推測される。YAZOOの2015『Before
The Blues』というオムニバスCDの解説には、「They may have been from around Carroll County Mississippi(おそらく、彼らはミシシッピーのキャロール郡あたりから来ていたのではないか)」とある。1927年という録音年から考えると、3人とも1900年前後の生まれと推測される。

 残された曲には8小節ブルースをアレンジしたものや、軽快なリズムに載せて歌われているものもある。その中でも「France Blues(フランス・ブルース)」はオムニバスCDなどに入ることが多く、歌詞にはサン・ハウスの「My Black Mama」や「Death Letter Blues」、あるいはスキップ・ジェームスの「Special Rider Blues」とほぼ同じフレーズを使っている所がある。ただし、メロディーやリズムは別物で、重いテーマとは逆に、軽快で聴きやすい曲になっている。この曲が何故「フランス・ブルース」というのかはわからない。あくまでわたしの推測だが、周辺の人々を集める―すなわち集客のために路上等で歌う際の奇抜な曲名とアレンジだったのではないだろうか。

 オムニバスLPのOJL-2にデイヴィッド・エヴァンスらが聞き取った歌詞が付いているので、参考までに、フランス・ブルースの歌詞を最初から3スタンザほどを下に書いておく。

Have you ever took a trip, babe, on the Mobile Line?
Hey, Lord, mama, mama, hey Lord, papa, papa, hollering, 'bout the the Mobile Line.
That's the road to ride, baby, to ease your trouble in mind.

Well, I got a letter, babe, that's the way it read.
Hey, Lord, mama, mama, hey Lord, papa, papa, hollering 'bout the the way it read.
Come home, come home, babe, the girl you love is dead.

Well, I packed my suitcase, bundled up my clothes.
Hey, Lord, mama, mama, hey Lord, papa, papa, hollering 'bout bundled up my clothes.
When I got there, she was laying on the cooling board.

この歌詞の中のthe Mobile Lineとは、ミシシッピーからアラバマ州に向かう鉄道を意味しているようだ。

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