金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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4:瀬川貴次 『百鬼一歌 月下の死美女』

2018-02-16 15:49:41 | 18 本の感想
瀬川貴次 『百鬼一歌 月下の死美女』(講談社タイガ)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味が持てない貴公子・希家は、
武士が台頭してきた動乱の世でもお構いなし。
詩作のためなら、と物騒な平安京でも怯まず吟行していた夜、
花に囲まれた月下の死美女を発見する。
そして連続する不可解な事件――。
御所での変死、京の都を揺るがす「ぬえ」の呪。
怪異譚を探し集める宮仕えの少女・陽羽と出会った希家は、
凸凹コンビで幽玄な謎を解く。

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定家が好きなので、めちゃ評価が甘くなってる自覚はあるのだが、
とても好き。

二条院讃岐に鎌倉に九条家に、実在の人物を配しているのだし、
はっきり御子左家と書いているのだから
俊成・定家・寂蓮も名前をいじらなければいいのに……と思うけど、
ラストがあれなので、いろいろと差しさわりがあるのかね。

謎解きの過程でいくつかの真実が明かされていっても、
そのいずれにも「そうだったのか!」という驚きがないし、
過去の事件の謎を残すのならともかく、
リアルタイムで進行した事件の謎を明らかにしないのは
どうにもおさまりが悪い……と残念な点もあるんだけど、
頼政の孫娘という設定を活かした展開になったのはとてもいい。
続編を読みたい。

コメント
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