昨夜のテレビでは、山形県、最上川流域の市町に大きな災害が発生しまだ危険地域が
多く存在するといっていますが大丈夫でしょうか。埼玉南部にはほとんど雨が来ない
のですが、雨も地域的にもう少し平均化して降ってくれれば・・。
先日(8/1)の新聞 1面トップ記事に「VRS」の文字を見てハッと意を突かれた感
じがしました。
新聞のVRSは、ワクチン接種記録システム (VRS: Vaccination Record System)
のことで、デジタル庁が提供する新型コロナワクチンの円滑な接種を支援するシス
テムとありました。
(ネット画像より)
このシステムについては、後ほど確認することとして、なぜこのVRSに、目が留
まったかといえば、もう40年も前のことですが、現役の時に通算 8年ほど、映像を
使った新しいシステム・サービスの開発・実用化の部署にいた時に、開発をしてい
たシステムの名前を「VRS」といっていたからなんです。
私たちが開発を進めていたVRSというのは、「画像応答システム」(Video
Response System)というものでした。 当時ですから端末には電話とかテレビを
使って、それらに補助装置を付けて、今でいうインターネットのように、端末から
リクエストすれば、それに応じた情報が得られるというシステム・サービスです。
利用者がそれぞれに求める情報を、音声や画像で、必要であれば映像(動画)で
届けるサービスなんですね。試作提供したサービス内容は教育・学習、旅行案
内、ゲーム、囲碁、音楽映像などでした。
私たちが開発していたVRSの使い方
利用者のアクセスや検索指示はプッシュ式電話機を使い、受ける情報はテレビ
受像機でという仕掛けなんですが、個々のリクエストに応じて画像、映像を要求
した人に届ける・・というのは大変難しいことだったんです。
今では、youtubeなどでは検索すれば、たちどころに映像(動画)が受信出来ま
すが、このことはすべてがデジタル化されているから可能であり、当時ではアナ
ログ記録(ビデオテープなど)でしたから、端末からのリクエストに応じて映像
を流すということは至難の業だったんですね。
映像がデジタルで記録できるようになって、記録媒体もテープ(再生にはテー
プを回す)ではなく、デジタル機器で物理的な可動部を伴わずに選択・再生が可能
となったからです。
当時はこのような、アナログ機器を使いながら、将来を想定したシステム機能
やサービスの有用性などを実際に検証していたのでした。今の時代が、こんなに
早く来るとは夢にも思っていなかったのでしたね。
ところで、新聞で見たVRSは、ワクチンの接種に関した個人情報の記録を主とし
て、マイナンバーカードを活用した、ワクチン接種の本人確認から履歴、証明など、
国で構築する共用システムで、各自治体や関係部署で使用する仕組みが取られて
いるのです。もちろん各個人が必要なアプリを介して個々に情報取得することが
出来、その都度証明などにも活用できるというシステムのようです。
実際には、国民への周知や、全国的なシステム構築に時間が必要で、運用開始
は数年後になるようですが、すでにマイナンバーカードが健康保険証として使う
「マイナ保険証」の仕組みを活用するとのことです。
このシステムができると、紙のワクチン接種券は不要となり、厚労省所管の
「社会保険診療報酬支払基金」などのシステムと連動させるほか、マイナンバー
カードに接種履歴を記録し接種証明書として利用することが出来るなど利便向上
とコスト削減が図られるとの見通しのようです。
紙によるワクチン接種券の発行だけをとらえても、印刷や郵送などを含めて何
か月もかかることから考えればはるかに効率的のようです。
ここで、ちょっと気になってデジタル庁はどのような仕事をされている(しよ
うとしている)のかを確認したくなって、ネット検索をしてみて、私の読解力が
これほど衰えてしまったかと驚きました。
具体的に何をどの様にする機関なのかよく理解できなかったのです。理解不足
は否めないと思いますが、どこか歯の浮くような作文ばかりのような気がしました
が私だけでしょうか? 一例を見ますと・・
デジタル庁HP https://www.digital.go.jp/ より・・
組織情報として、最初にデジタル庁の概要が挙げられており、その全文は以下
の通りです。
『デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・
トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを
今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。徹底的な国民目線でのサービ
ス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル
化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めてまいります。』
政策の項では、
『デジタル庁では、これから日本が目指すデジタル社会の姿と、それを実現する
ために必要な考え方や取組を示す「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策
定しています。』とあり、
デジタル社会の実現に向けた重点計画として、
『本計画は、目指すべきデジタル社会の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に
実施すべき施策を明記し、デジタル庁を始めとする各府省庁が構造改革や個別の
施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤となるものです。令和4
年(2022年)6月7日に新しい重点計画が閣議決定されました。』
で、この『重点計画』は次の図で示され、それぞれの項目について解説されていました。
(デジタル庁ページより)
上から、『デジタルにより目指す社会』では、デジタル技術の進展により、一
人ひとりの状況に応じたきめ細かいサービスが低コストで提供できるようにな
る・・
『デジタル社会の実現に向けた理念・原則』では、デジタル化の推進とその効果
を最大化するために、以下に示す理念・原則をあらゆる施策や取組において徹底
します・・。そして、「誰一人取り残されない」個々人の多種多様な環境やニーズ
を踏まえて、利用者目線できめ細かく対応し、誰もが、いつでも、どこでも、デ
ジタル化の恩恵を享受できる社会を実現します。
など、このような作文が続いています。
そして、何をどのように具体的に取り組んでゆくのか、それらの輪郭が全く見
えないのです。現状、多くのシステムが稼働していると思いますが、これら省庁
所管のシステムの国民に関係した部分、例えば、住民情報、健康関連、労働関係、
教育、福祉などなどグループ分けしたシステムをどの様に統合・廃棄するのか、
それらの構築をどの様なロードマップで実現して行くのか予算面ではどうかなど
などが皆目見えないというか触れられていないのですね。美辞麗句ばかり並べら
れれば、何となく胡散臭く勘繰りたくなってさえくるのです。
そういえば、かって大騒ぎしていた住民基本台帳というシステムがありました
が、どうなったのでしょうか? まだ、存続しているのでしょうか?
国民目線で、これらのことをいちいち公開する必要はないかもしれませんが、
これまでのシステムで無駄になったものがあるのかないのか? この辺りは、会
計検査院でも把握しているはずかもしれませんが・・ 今はもう時代が変わって
いるのでしょうか?
時代に完全に取り残されてしまったような感じを覚えました。
ボールで打楽器を打ったら止まらなくなった