昨日は、二十四節気の立秋でしたが、それが過ぎた今日からまた猛暑日が続くと
予報されています。やれやれ・・!
新型コロナウイルスに悩まされ始めて、すでに3年目(2年半が過ぎる)となり、
最近では、第7波の過去最多の新規感染者を更新している状況にあり、発熱外来は
じめ医療機関の逼迫を招き、ウイルス検査キットの不足などの事態を招いています。
ウイルスについては、拙ブログにもこれまで何度かそれぞれの視点から記事に
取り上げていますが、「ウイルスについて」の全般的な内容として、今回はその
2回目として、今後どのように展開して行くのか? 終息するのか? についての
ある意味での予測みたいなことに触れてみました。
(ネット画像より)
もとより医学的な知識はからきしありませんので、ずぶの素人が現状とネットや
手近かな文献などからコロナウイルスの今後の展開なる事柄を云々すること自体
大いに疑問のあるところですが、素人の一つの感じ方として記してみました。
結論的に感じたことは以下の通りです。
「新型コロナウイルスは、そのうち消滅して行くのではなく、人間にどんどん感染
しやすくなるように変化して(変異して)時間をかけて人と共存の形をとって行く
のではないか」
と理解しました。もっともこれまでにも、新型コロナは、どんどん感染者を増や
して、感染力は強くなるが、症状は次第に軽くなり、これまでのインフルエンザ
のような扱いになるのではないかといわれていましたから、この方向と同じ結論
かもしれません。(明確なところは不明です。)
このような思いに至った決め手は、水谷哲也氏(東京農工大学農学部付属感染症
未来疫学研究センター長)の記事『人獣共通感染症の発生を予測するために』に
よるところ大です。
水谷氏は、冒頭『人獣共通・・』と言ってしまえば鳥類が含まれなくなり、厚
労省が呼ぶ『動物由来・・』とした方が適切であると断りを入れられていますが、
あまり気にしないこととします。また、本題に入る前に、『分子時計』の概念を
簡単に紹介しておきます。
分子時計とは、ウイキペディアによれば、『生物間の分子的な違いを比較し、
進化過程で分岐した年代を推定したものの仮説。分子進化時計とも呼ばれる』と
あります。
過去にどのような生物が存在していたかは化石によって、その化石が発見され
た地層の年代などから推定されていますが、ウイルスの化石は発見されていない
ので、生物を構成する分子構造の違いと分子構造の時間あたりの変化量から進化
の系譜を推定する方法を『分子時計』と呼ばれています。
で、この方法による解析では、ヘルペスウイルスは約4億年前に誕生したことと
なり、この頃の地球は三葉虫全盛の時代ということになります。また、インフル
エンザウイルスは分子時計による解析で、約1億年前に誕生したことになり、この
頃地上では恐竜が幅を利かせていた時代なんですね。
ちょうど1年前(2021.8.4)の拙ブログ記事「ウイルスについて」から、『ウイ
ルスは細胞のように自らが生きることはできず、他の生物(宿主)に寄生して子孫
を継続増殖する生存戦略をとっています。 したがって、宿主が死ねばウイルス
も存続できないため、最も安全な生存戦略として宿主と平和共存しているのです。』
とあります。
ヘルペスウイルスは約4億年前に誕生していますが、これには単純ヘルペスウイ
ルスと帯状疱疹ヘルペスウイルスなどがあり、現在では殆どの人が感染していて、
何世代にもわたって感染しているけれどもパンデミックにはならず、宿主の神経系
の中で潜伏感染していて、ひっそりと感染を広げているのです。
インフルエンザウイルスは、約1億年前ですが、こちらは毎年変異して冬に派手
に流行を起こしています。専門的には、インフルエンザウイルスには8つのゲノム
が入れ変わりながら変異を続けているということだとあります。 しかし、これら
のウイルスは、長年の間に安定?した感染システムが出来上がっていると見るこ
ともできるのです。
コロナウイルスは、分子時計では、約1万年前に誕生したまだ若いウイルスとい
うことが出来、人だけでなく犬、猫、牛、豚、鶏など多くの動物に感染するウイル
スが属しているとあります。 1万年前といえば、旧石器時代から新石器時代への
移行期で野生の牛や豚が家畜化されてゆく頃でした。
まだ若いコロナウイルスは、いろいろと変異しながら安定した?『宿主』を探
している途上にあるとみなすことが出来るというのです。 したがって、コロナ
ウイルスが消滅してしまうということではなく、いずれ密かな感染へと変異して
行くと予測されるのです。しかし、それには長い時間が必要のようです。
21世紀はコロナウイルスの時代ともいえる。2002年のSARS、2012年のMERSそして
2019年のCOVID-19(新型コロナウイルス) と次々と新しいコロナウイルスが出現
しています。長い目で見るとまだ始まったばかり・・ということでもあるのですね。
人から人への感染がどのような変異をたどりながら拡大して行くのかは予測が
つかずひたすら感染を防ぐ手立てをするしかないのでしょう。そしていつの日にか、
安定した宿主を見つけて、ひっそりと感染するウイルスに変異して行くのかもし
れません。
(水谷哲也氏講座より)
これまでに、ウイルス共生に失敗したウイルスの代表例は、天然痘ウイルスです。
感染した人は死亡、もしくは終生免疫が確保されるため、ウイルスは絶えず免疫
のない人に感染し続けなければならないのです。 ワクチンによって、ヒトの間
の伝搬が阻止された結果、1980年に根絶されたのです。
水谷哲也氏の講座(一部)
https://www.jmedj.co.jp/movie/detail.php?id=83
さらに、これからも新しいコロナウイルス感染症の出現は続くとみなされます
から、これを防ぐためには、コウモリを始めとした野生動物との接触を避けるし
か方法はないとあります。
しかし、野生動物を触るとすぐに何らかのウイルスに感染するというわけでは
なく、むしろ実際には、簡単には感染が成立するのではなく、水谷氏の文献では
動物と人との間には大きな4つの壁があると述べられています。
1、タイミング:人が動物の皮膚や毛に触れたとしてもそこにウイルスが存在し
ていることはまれであり、血液に触れても、傷をしていなければ感染しないなど、
感染するためにはタイミングが必要である。 2、免疫:動物と人では免疫のシ
ステムが異なっていて、動物から感染が試みられても、人の免疫力で感染できな
い可能性がある。 3、受容体の種差:ウイルスが細胞表面の受容体への結合が
うまく行くかどうかである。例えばコロナウイルスは、人や猫の受容体には結合
しやすいが、犬や豚の受容体には結合しにくい。鳥インフルエンザウイルスは、
人の受容体には結合しにくい。4、体温も大きな壁である:人の体温は36~7℃で、
多くの動物の体温は39~40℃で、動物の体温状態で効率よく複製できるように変
異したウイルスが、ヒトの36℃でうまく複製できるとは限らない。
したがって本来は、コロナウイルスが動物(こうもり)から、ヒトへ感染する
ことは容易でないことであり、COVID-19 が発生したということは、コウモリから
ヒトへ何度もアタックした結果、ヒトで感染ができるように変異または選択され
たと考えることが出来るというのですね。
今後新種のウイルスに感染しないためには、このような動物と人との接触機会を
発生させないことが重要であると結ばれています。
COVID-19がなくならないのであれば、今後どのようにすればよいか? は、も
ちろん感染の機会をつくらないことが最重要ですが、100%は無理ですから、ワク
チンの開発と治療薬の開発につきるということです。現状のインフルエンザへの
対処と同じように・・。現在私たちが摂取しているワクチンが今後さらに効果的
なワクチンへと改良されることと、治療薬の開発が期待されるところです。
星を見つめないで