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日本でもワイン法が、ということですが、変な制度化は困ります。

2014-08-08 09:57:45 | 附属酒類経済研究所
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カッコいいけど、カッコ悪いことにはしたくない。

日本産ワインのブランド強化=国が産地認定、品質証明-自民新法検討
 自民党は国産ワインの国際競争力強化に向けた新法の検討に着手した。国産ブドウを原料とするワインが一定の基準を満たせば、国が産地を認定し品質を証明する。来年の通常国会に議員立法で「ワイン法案」(仮称)の提出を目指す。


時事通信の配信、ということは、そこかしこの新聞でも取り上げられているはず。



 現在、日本にはワインの産地や品質の証明に特化した法律はなく、海外に輸出する上でのブランド力に欠けるとの指摘が出ている。ワイン生産国が多い欧州連合(EU)各国は、原産地証明に関する国内法を整備。フランスはボルドーやブルゴーニュといったブランドを保護している。
 日本でも国税庁が昨年7月、初めて酒類業組合法に基づき、「山梨県産ブドウ100%使用」などの基準を満たしたワインに限り、産地指定を行った。これらのワインは「山梨」ブランドとして輸出されている。ただ、同法のワインに関する指定基準は不明確で、山梨に続く産地指定は行われていない。
 6月には農林水産物や食品の地域ブランドを保護する地理的表示法が成立したが、同法ではワインなどの酒類は対象外だ。 
 このため、自民党はワインの産地認定や品質証明に関する新たな法律があれば、輸出力の強化につながると判断。産地ごとに業界関係者らで協議体を構成し、認定や証明の基準を作成。これに基づく申請を国が審査した上で認証する仕組みを検討する。



EUなどでは、その地域の(しかも定められた品種や収穫量の制限までされた)ブドウ由来のワインのみを○○地域のワイン、としているのに対し、ということで、概念自体はもっともだし、そうすべきだし、でしょう。

ただ、その概念を日本に持ってくる時に、いろいろあるかと。

例えば、よくクイズにもなる、「日本のワインの生産量ランキング」
国税庁のH24の統計(都道府県別製成数量)によれば、
1位:神奈川 29,409キロリットル
2位:山梨 20,056キロリットル
3位:栃木 16,284キロリットル
4位:長野 4,413キロリットル

となっています。
(ちなみに、1位の神奈川は、、、、メルシャン藤沢工場、があるため。)


対して、醸造に向けられるブドウの生産量
農水省の統計(H22)によると
1位:長野 3,645トン
2位:山梨 2,754トン
3位:長野 1,379トン
4位:山形 737トン


です。これまたちなみに神奈川県のブドウ生産量は0トン
ですから、神奈川県のワインは100%他地域(他国?)のブドウ由来、ということになります

では、共にランクインしている山梨と長野ですが、ぶどうの量をワインの量で割ってみましょう。
山梨:0.13kg/1L=720mlボトルで0.19kg
長野:0.31kg/1L=720mlボトルで0.43kg

俗に、ブドウ1kgから720mlボトルかもう少し少ないワインができる、と言われていますから、数字上は山梨ワインの多くはどっかからのブドウ由来、ということになります。


それ自体、決して悪いことだとは思いませんが、いざワイン法を制定、と言う時に、それを「カッコ悪い」と思い、変な表示の抜け道を作る、というのが最もカッコ悪い、と思います。

また、EUではブドウの品質を確保するため、「収穫量を抑える」ということも要件に入れているケースがあります。
これに対し、甲州種は(生食用だったし)収穫量と品質は関係ない(法で縛るべきでない)、という意見もあるようですが、関係性の強さはさておき、同じブドウなのですから、それもちょっと、と思います。

輸出促進!という気持ちはわかりますが、せっかく制度化するのであれば、その辺りの議論をしっかりすべき、でしょう。
(当研究所でも研究テーマの一つとして、取り組んでいます!!)


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