「自然なお産が、したいのです。どうすればいいのでしょうか?」と、よく聞かれます。
しかし、自然・・・というのが、いわゆる経膣分娩(帝王切開ではなく)をさすのか、
余計な薬や、医療介入を避けて、自分力を最大限に発揮したお産をさすのか、
質問をしている本人が、よくわかっていないことがとても多いのです。
マタニティ雑誌とかで、そういうテーマが取り上げられて
よい面だけが強調されたからではないでしょうか。
自然分娩イコールいいお産。
そういうイメージだけで、お産を捉えてしまっているのではないでしょうか。
それプラス、病院との対極で助産院の紹介がなされます。
助産院イコール、行きさえすれば、いいお産をさせてもらえる・・・
大きな間違いです。
自然はとても厳しいことを忘れていませんか?
自然とかけ離れているところで
生活をしている自分たちのことを忘れていませんか?
室内犬と化した犬たちが、
帝王切開をしなければ子どもを産むことができないのと同じ状況に
なりつつあることを、知らねばなりません。
偏った食生活。
運動不足。etc・・・
私たちの身体は、自然とはかけ離れているのです。
お産をマラソンに例えましょう。
何の練習もなく、マラソンの42キロあまりを完走できるでしょうか?
時間をかければ何とかなるか、途中で、ダウンするか・・・
とにかく、つらい経験になってしまうことは間違いないでしょう・・・
マラソンを完走するために、
それも、自分の目標としたタイムで、完走するために
マラソンという競技を知り、練習をします。
そのためには、監督というサポーターが必要です。
独りよがりなやり方では、効果的な、練習にはならないことが多いからです。
そして、練習のほうが厳しいのです。
その練習の中で、必要な体力や精神力が培われていきます。
お産も一緒です。
自然なお産について知り、自分らしく産むためのプランを立て、
その実行のために、体調を整えていくのです。
助産婦はそのサポータです。
まず、自然に産むということを知らねばなりません。
その上で、自分が望むお産をイメージし、具体的にしていきます。
これを、バースプランといいます。
私たち助産婦の役割は、バースプランを自分で、立てることができるように、
お産について、いろいろな方向からお話し、可能な限りのお産に関する選択肢を提供すること。
そして、立てられたバースプランが実行できるように、必要な情報の提供と、
母体および、赤ちゃんの状態を客観的に判断していくことです。
その上で?生活や、運動などの具体的なアドバイスを行います。
これを実行するかしないか・・・
それが、マラソンの練習と同じです。
特に身体を整えていくことはほんとに、
大切なことです。
たとえば、運動。
今の女性たちには体力がありません。
どんなに自信がある人でも、お産につながる体力を持ち合わせている人は、少ない・・・
20代だろうと、一昔前の40代の人よりも体力は劣ってます。
だから、一日、1万歩距離にして6~8キロくらい、
時間だと2時間くらい歩きましょう・・・そうアドバイスをします。
歩くことのメリットはとても大きいからです。(詳しい説明は省かせていただきます。)
食事についても、今までの食生活を見直して、食べることが、
身体つくりの為に必要不可欠であることを、もう一度考え直して見ます。
今の食生活はめちゃくちゃです。
私たちは、今までに、食べることについてどれほど、学ぶ機会があったでしょうか?
ほとんど無かったのです。
だから、おなかの中の赤ちゃんを意識できるこの時期に、考えてみるべきだと思うのです。
そして、正しい情報を見極める目を養う・・・
妊娠中に食事が整うと、母乳を飲ませたり、離乳食に入っても、困ることがなくなるのです。
悲しいかな、これらのアドバイスは、実行に移されることが少ない・・・
すぐには、その効果を感じられないのか・・・
きついのがいやなのか・・・
めんどくさいのか・・・
理由はいろいろなんでしょうが、一番大切なこれらのことがないがしろにされる。
そして、こんなお産がしたい、これはしないでくれ・・・と、外側の、見えることだけを要求する。
練習なしに、マラソンに望むようなことをして、
思うとおりの結果が得れなかったと
周りを責めているようなことが大いにあるのです。
「自然なお産」
自分にとっての、自然ってなんだろう・・・
今一度考えてみてください。
まわりの意見や本や雑誌にふりまわされないようにしてくださいね。
悩みがふえます。
主役は、産むあなたとあかちゃんです。
お産を人任せにしないでください。