川崎市麻生区細山の小高い尾根に当地区では格式の高い臨済宗建長寺派の「南嶺山香林禅寺」は鎮座する。大永5年(1525)寿福寺南樹芳泉和尚により開山。開山の折には「観音堂」があり、霊験あらたかな身代り観音が祀られ「香林坊」と称していたことが文禄3年(1594)の水帳に記されている。後、慶長年間(1596年から)に「南嶺山香林寺」と称するようになった。本尊は弘法大師作の十一面観世音菩薩である。寺号標から続く参道、石段の上には四脚門の「山門」が構えられ、その正面に入り母屋づくりの「本堂」、右に庫裏がある。更に「本堂」左手路には「三十三観音ミニ霊場」、「聖徳太子堂」、その奥には禅様式建築で統一された「五重塔」がひときわ高く聳え建っている。精緻を尽くした構造の妙、堂々とした風格ある美観、崇高さは純木造建築による極致でといわれわが国唯一のものである。内陣には釈迦初転法輪像が安置、外陣には天平時代の四天王像、二層から五層には十六羅漢像が祀られている。当寺は「準西国稲毛三十三番札所」、「武州稲毛七福神札所」でもあり、里山の小高い尾根に建つ寺域からの眺望、美景は「ふるさと麻生八景」にも選ばれている。明治6年(1873) 周辺の3村を学区として誕生した「生田学校」の細山分教場が2年後に香林寺に設置された。 (2109)
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