非行少年に脅され続け高校時代にナイフで脅されてレイプに加わり、その後自殺を試みて奇跡的に一命を取り留めた過去を持つ主人公が、3人の女性とその親たちとの間で繰り広げる愛憎の心理ミステリーといったところ。
この主人公、かなり読みが浅くて場当たり的なところがありますが、基本的にはそれほど悪人ではありません(レイプも、ナイフを突きつけられて加わったもの)。にもかかわらずその行動からまわりが次々と不幸になり精神を病んでいく展開には、話ができすぎとは感じますが、やりきれない思いがします。
また、この主人公、死のうと思ってバイクでフルスピードで突っ込んでも、ナイフで腹を刺されて内蔵をえぐられても、火事で燃える建材の下敷きになっても死なず、ゾンビのように生きのびるのがまたいかにもウソっぽい。ちょっと、その昔読んだ竹宮恵子の「ファラオの墓」のサリオキスを思い出してしまいました(こんなこと言ってわかる人ほとんどいないと思いますが)。
でも、ここまでこじれるかと思うほどぐちゃぐちゃにした後、こじれをほどいていく最後は、それなりに美しく感動的でもあり圧巻(あえて中身は書きませんけど、読んでいたら、こじれをほどくにはこれしかないよねってパターンではありますが)。ちょっと「愛と誠」と「タイタニック」を連想してしまいましたけどね。
吉村達也 双葉社 2006年8月25日発行
この主人公、かなり読みが浅くて場当たり的なところがありますが、基本的にはそれほど悪人ではありません(レイプも、ナイフを突きつけられて加わったもの)。にもかかわらずその行動からまわりが次々と不幸になり精神を病んでいく展開には、話ができすぎとは感じますが、やりきれない思いがします。
また、この主人公、死のうと思ってバイクでフルスピードで突っ込んでも、ナイフで腹を刺されて内蔵をえぐられても、火事で燃える建材の下敷きになっても死なず、ゾンビのように生きのびるのがまたいかにもウソっぽい。ちょっと、その昔読んだ竹宮恵子の「ファラオの墓」のサリオキスを思い出してしまいました(こんなこと言ってわかる人ほとんどいないと思いますが)。
でも、ここまでこじれるかと思うほどぐちゃぐちゃにした後、こじれをほどいていく最後は、それなりに美しく感動的でもあり圧巻(あえて中身は書きませんけど、読んでいたら、こじれをほどくにはこれしかないよねってパターンではありますが)。ちょっと「愛と誠」と「タイタニック」を連想してしまいましたけどね。
吉村達也 双葉社 2006年8月25日発行