伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

愛闇殺

2006-09-22 22:06:41 | 小説
 タイでの保険金殺人事件に端を発する一連の事件をめぐる、刑事が主人公の人情ものです。
 本のカバーには「直木賞作家による待望の長編書き下ろしミステリ」とありますが、謎やトリックはあまりなく、話の展開もおおかた見えてますから、ミステリーとして読むのはちょっと辛い感じがします。登場人物の人物描写に重みを置いた人情話的刑事娯楽小説として読むのなら楽しめます。

 ただ、最後に犯人を殺害した人物が逮捕を免れる作りにちょっと無理を感じます。逮捕されないのが正義に反するという意味じゃなくて、タイの警察をなめ過ぎ。深夜にゲストハウスのすぐ前で射殺されていて、呼び出されて出てきたところを打たれたと思われる状況で、警察が死者の携帯電話を押収・チェックしないなんて考えられません。今時は携帯電話は普通の事件でも重要な証拠物件として押収されます。ましてや呼び出されて打たれたと思われるときに、その携帯は死者が持ったままで、その携帯に直前の着信履歴が残っている人物にタイの警察が事情聴取もせずに迷宮入りなんて・・・そういうストーリーにしたいのならせめて死者の携帯を処分しておかないと・・・


笹倉明 早川書房 2006年6月30日発行
コメント
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