就職面接のテクニックというか考え方、試行錯誤・工夫の方向性について論じた本。
著者は、この本はマニュアル本ではない、質問への対応を書いた本ではないと強調しています。確かに、面接でいうべきことは自己紹介と志望動機だけで、面接官が形の上で何を聞いていても本当に聞きたいことはその2つだけだと断言し、何十倍何百倍の「落とす」面接ではみんなと同じことを言うのでは残れない、面接官はマニュアル本の勧める決まり切った回答を繰り返し聞かされて飽き飽きしている、自分の人生・大学生活を見つめ直して響く自己紹介を考えろというこの本のメインストリームはそういう志向かなと思います。しかし、例えば疑問45の「第1志望でないところで、第1志望はどこかと聞かれたら、どうすればいいのか。」に対して、「どこの会社に行っても『御社第1志望』。理由は『会った人で決めた』プラスその人のどこに魅かれたか」(163~165ページ)とか、マニュアルとしか思えない記述もわりとあります。
書かれていることは、少なくとも社会人の読者にとっては、自分が面接する側だったらという視点で見ればそりゃそう考えるよねという点が多く、そういう意味で納得しながら読めます。ただそういう内容でも、著者の筆力ということだと思いますが、例の挙げ方や論の展開がよく、飽きさせずに読ませてくれます。下部欄外に「先輩の金言」と題して匿名の断片的なアドバイスが羅列されていて、これが就活中の学生には意味があるのかもしれませんが、本文ではそういうのはダメと断じている抽象論やありきたりなものが少なくなく、通し読みするときには辟易します。でも、そういう素人のおもしろくない文が下に続いていることで、本文の巧さが光っているのかもしれません。
中谷彰宏 ダイヤモンド社 2013年9月27日発行
著者は、この本はマニュアル本ではない、質問への対応を書いた本ではないと強調しています。確かに、面接でいうべきことは自己紹介と志望動機だけで、面接官が形の上で何を聞いていても本当に聞きたいことはその2つだけだと断言し、何十倍何百倍の「落とす」面接ではみんなと同じことを言うのでは残れない、面接官はマニュアル本の勧める決まり切った回答を繰り返し聞かされて飽き飽きしている、自分の人生・大学生活を見つめ直して響く自己紹介を考えろというこの本のメインストリームはそういう志向かなと思います。しかし、例えば疑問45の「第1志望でないところで、第1志望はどこかと聞かれたら、どうすればいいのか。」に対して、「どこの会社に行っても『御社第1志望』。理由は『会った人で決めた』プラスその人のどこに魅かれたか」(163~165ページ)とか、マニュアルとしか思えない記述もわりとあります。
書かれていることは、少なくとも社会人の読者にとっては、自分が面接する側だったらという視点で見ればそりゃそう考えるよねという点が多く、そういう意味で納得しながら読めます。ただそういう内容でも、著者の筆力ということだと思いますが、例の挙げ方や論の展開がよく、飽きさせずに読ませてくれます。下部欄外に「先輩の金言」と題して匿名の断片的なアドバイスが羅列されていて、これが就活中の学生には意味があるのかもしれませんが、本文ではそういうのはダメと断じている抽象論やありきたりなものが少なくなく、通し読みするときには辟易します。でも、そういう素人のおもしろくない文が下に続いていることで、本文の巧さが光っているのかもしれません。
中谷彰宏 ダイヤモンド社 2013年9月27日発行