伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

巨大彗星-アイソン彗星がやってくる

2013-11-22 23:52:07 | 自然科学・工学系
 2013年11月29日に0.012494天文単位(天文単位=地球-太陽間距離)まで太陽に近づき、その前後の夜明けの東南東ないし東の空を飾ることになる巨大彗星アイソンについて、それ以前の彗星のエピソード、国立天文台副台長の著者のこれまでと合わせて説明した本。
 彗星や流星群の予測は天文学者でもわからないという驚きも動機の1つとなって天文学者になった著者が、これまで天文ファンの話題に上る彗星が近づいた際にその彗星の見え方(明るさ、尾の長さなど)について予測を繰り返しては外し、2013年3月に接近したパンスターズ彗星について「大彗星にならない」と予想した際には朝日新聞に「彗星の予測をよく外すといわれている渡部潤一・国立天文台教授は最近、あえて『春がすみもあって、パンスターズ彗星は肉眼では見えないだろう』と繰り返しており、天文ファンに『歓迎』されている。」と書かれた(82~83ページ)という経緯など、これまでの主な彗星の見え方やその予想の外れぶり、著者のこれまでなどが大部分を占め、アイソン彗星のことが書かれているのは全体の3分の1くらいです。その過程で、彗星の構造やどういう条件があると彗星がよく見えるのか、尾の仕組みや尾が明るく長く見える条件などが説明されているので、それなりに読み応えはあるのですが。
 アイソン彗星自体については、当初希望的に予測された満月を超えるほどの彗星にはならない、太陽の潮汐力で核が分裂する可能性が高いので近日点通過後の12月上旬から中旬には長さ10°を超えるようなかなり直線的な尾の出現が予想される、観察は12月上旬の夜明けがよく、東京では午前4時半頃から東の地平線付近を眺めているのがよい、小さな双眼鏡があればベストだが肉眼でも充分だそうです。


【追記】
 11月29日、NASAが太陽に接近したアイソン彗星が崩壊し蒸発して消滅したと一旦発表し、その後まだ残っているがどの程度残っているか地球から見えるようになるかはまだ判断できないと改めて発表しています。さて無事に観測できますか…(12月1日追記)
 NASAも国立天文台も肉眼での観測は無理って。「彗星の予測をよく外すといわれている」は伝説・定説となりますか…(12月3日追記)

渡部潤一 誠文堂新光社 2013年10月30日発行
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