伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ヴァンパイレーツ13 予言の刻

2013-11-19 21:08:47 | 物語・ファンタジー・SF
 海賊船(ディアブロ号・タイガー号など)とその属する「海賊連盟」、血を吸う相手を殺さないようルール化している吸血海賊船(ヴァンパイレーツ)ノクターン号の「ノクターナルズ」と、ノクターン号に反旗を翻して独立したヴァンパイレーツのシドリオたち、ディアブロ号とノクターン号に命を救われた双子の兄弟コナーとグレースの運命で展開するファンタジー。
 13巻では、海賊船への襲撃を重ね100隻を奪ったシドリオたちヴァンパイレーツ軍団に対抗するために同盟を組んだ海賊連盟とノクターナルズが、グレースのいるサンクチュアリを野戦病院化して重傷者を回復させて戦列に戻すとともに、ヴァンパイレーツへの逆襲を計画し訓練を重ね、ヴァンパイレーツ軍団に奪われたディアブロ号の奪還を企て、シドリオたちは海賊側の戦闘員が減らないことを訝しんでサンクチュアリにスパイを送り込み、シドリオの子を孕んだローラはますます残虐に襲撃を続け…という展開になります。
 プロローグで、500年前にモッシュ・ズーが戦乱の時代の訪れと「戦をもたらす者の子どもとして生まれ」た双子の登場、ノクターナルズに勝利をもたらすことができるのはこの双子だけで、戦乱を終わらせ調和をもたらすためにはこの双子のどちらかが死ななければならないことを予言したことが紹介され、原書の前作で不死のダンピール(ヴァンパイアと人間のハーフ)だとわかったコナーとグレースが死ぬ運命を示して読者に緊張感を与えています。
 13巻の最大の驚きは、これまでジコチュウのわがまま坊やだったムーンシャインがヴァンパイレーツの餌食となったモロッコ・レイスの遺言で奪われたディアブロ号の船長に指名され成長を見せるところでしょう。母親のトロフィー・レイスだけは相変わらずですが、この成長で海賊連盟の結束が深まり安定感が出て来ます。
 日本語版13巻は、原書第6巻(原題:IMMORTAL WAR)の前半部分にあたり、原書のほぼ半分を翻訳したところで、ぶっつり切れて終わっています。ストーリーの区切りに思えるところはなく、本としての終わりの体裁もついていません。前から繰り返し言っていますが、日本語版を販売政策上分冊にしたいのなら、最初から上下とかにして分冊であることを明確に表示した上で同時に発売すべきだと思います。それもしないでこういう中途半端な途切れ方をした本を発売するの、出版社は恥ずかしくないんでしょうかね。


原題:IMMORTAL WAR
ジャスティン・ソンパー 訳:海後礼子
岩崎書店 2013年10月31日発行 (原書は2011年)

12巻は2013年7月29日の記事で紹介しています。
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