伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ボーダレス

2020-07-09 21:48:11 | 小説
 高2の夏休みにクラスで群れずに一人ノートに小説を書き続ける片山希莉と希莉に興味を持ち小説の内容と小説の取材で盛り上がる森奈緒、格闘家の父が正体不明の黒ずくめの人物に襲われ視覚障害者の妹圭とともに山中を逃げ歩く八辻芭留、オリジナルのコーヒー「究極の静男」「渾身の静男」「最強の静男」「休日の静男」が評判の喫茶店「カフェ・ドミナン」を経営する市原静男・緑梨夫婦と音大を目指したが果たせず失意の帰郷をして喫茶店を手伝う長女市原琴音と琴音を無視し続ける次女叶音、屋敷内に閉じ込められテラスで読書をしながら近くをよく通る女性に憧れていたらその女性から迫られて知らなかった性愛の世界に溺れる少女らの4つの世界が順番に進行しながら、いずれもカフェ・ドミナンに行き着いて事件になる、サスペンス小説。
 4つの話とも、比較的若い世代の女性がストーリーを引っ張るので、青春小説っぽい読み味です。
 ところで、仕事がら、気になったのは、「1年もあれば、最近は裁判の結果も出る」(316ページ)というフレーズ。被告人が控訴もしなかったという争う気もない被告人の刑事事件なんて、大半が1年どころか1月2月で終わってるのが日本の刑事裁判の実情だと思うのですが。長引くのはごく一握りの事件なのに、その報道に引きずられて日本の刑事裁判は長いって思い込んでいる人が多い。警察小説とか犯罪が出てくる小説を多数書いてるんだから、そこ、もう少し調べて欲しいなと思います。


誉田哲也 光文社 2018年8月30日発行
コメント
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