津波のメカニズムや性質、特に内陸部への遡上の危険性と被害防止のために何をすべきかについて説明し論じた本。
津波というと、沿岸部での直接的な被害を想定しますが、この本では、特に東日本大震災のときの津波の実例を中心に、津波が河川を逆流して遡上し、河川上は陸上よりも摩擦抵抗が少ないために速い速度でかなり上流まで遡上し(北上川では50km近くまで遡上した例がある)予想外の被害に遭う危険があることを強調しています。沿岸部から陸上を遡上したり、河川上を遡上して堤防を決壊させたり越流して市街地に流れ込んだ津波が建物の隙間に流れが集中したり複数の流れが合流・縮流して速度を上げるという予想外の動きをして(通常は陸上に遡上すると次第に速度は落ちると考える)複雑な流れ、双方向からの流れで避難が困難になる事態も指摘されています(47~51ページ)。さらに、東日本大震災の際には海底のヘドロを削り取り巻き込んだ「黒い津波」が、破壊力が強く(比重が大きいことで津波自体の破壊力が増す)、巻き込まれた人の視界を奪い生還が難しくなる、吸い込んだときに重度の肺炎を引き起こす(津波が収まった後も粉塵となって舞い上がり同様に肺炎を引き起こす)など、被害の拡大につながったことも指摘されています(52~54ページ)。
津波に襲われたときの生還には、日頃の備え(現実的で有効な避難場所や避難経路の検討等)、臨機応変で柔軟な判断力と行動力が重要になります。言うは…言うだけでも難しそうですが、実例を示して言われると、被災例も多々あり悲しいところですが、考えておかないと、と思いました。
今村文彦 成山堂書店 2020年3月28日発行
津波というと、沿岸部での直接的な被害を想定しますが、この本では、特に東日本大震災のときの津波の実例を中心に、津波が河川を逆流して遡上し、河川上は陸上よりも摩擦抵抗が少ないために速い速度でかなり上流まで遡上し(北上川では50km近くまで遡上した例がある)予想外の被害に遭う危険があることを強調しています。沿岸部から陸上を遡上したり、河川上を遡上して堤防を決壊させたり越流して市街地に流れ込んだ津波が建物の隙間に流れが集中したり複数の流れが合流・縮流して速度を上げるという予想外の動きをして(通常は陸上に遡上すると次第に速度は落ちると考える)複雑な流れ、双方向からの流れで避難が困難になる事態も指摘されています(47~51ページ)。さらに、東日本大震災の際には海底のヘドロを削り取り巻き込んだ「黒い津波」が、破壊力が強く(比重が大きいことで津波自体の破壊力が増す)、巻き込まれた人の視界を奪い生還が難しくなる、吸い込んだときに重度の肺炎を引き起こす(津波が収まった後も粉塵となって舞い上がり同様に肺炎を引き起こす)など、被害の拡大につながったことも指摘されています(52~54ページ)。
津波に襲われたときの生還には、日頃の備え(現実的で有効な避難場所や避難経路の検討等)、臨機応変で柔軟な判断力と行動力が重要になります。言うは…言うだけでも難しそうですが、実例を示して言われると、被災例も多々あり悲しいところですが、考えておかないと、と思いました。
今村文彦 成山堂書店 2020年3月28日発行