災害発生時に自治体職員が行うべきこととその法的根拠、国の通達やガイドライン、市町村と都道府県、国の役割分担と財政負担等について説明した本。
部外者の立場で読んでも、災害時には自治体が行うべきことや、被災者が直面する苦労・苦痛・不便がたくさんあるのだなということを実感できます。また、弁護士として、こういった行政法的な分野はふだん扱わないので、多くの法律や通達や取り決め、その改正があること、そして自分がそういうことをまるで知らないことを痛感しました。弁護士であれば法律を知っているなどというのはまったくの幻想だと日頃思ってはいるのですが、やっぱり事件として業務として取り扱わない分野のことは本当に知らないのだと改めてわかりました。知らない分野は怖くて手が出せないなと思い直します。
法律の分野でも特に行政法規では、条文がすごく複雑で、括弧が入れ子構造で長く続くものが多いのですが、著者がそういう領域を見慣れているせいか、この本でも根拠引用の長~い括弧が多く、とても読みにくい。括弧内をポイントを落として少し小さな字にするとかできないのかなと、自分が書くときにはあんまり考えないんですが、つくづく思いました。
「災害協定」というのが自治体が弁護士などの専門士業と被災した住民や事業者の再建等に資する法律や制度の情報提供・各種相談活動の実施のための協力要請の取り決めだ(24ページ)というのを初めて聞きました。災害対応の中で弁護士、法律相談の役割がそんなに大きいのか(単に「災害協定」という普遍的な用語でそういう意味なのかという驚き)と…まぁ、この本のタイトルが災害救援「法務」ハンドブックだし、著者が2人とも弁護士だから法律が重視されるということかもしれませんが。
「東日本大震災後に避難所の状況を視察した海外有識者たちは、日本の避難所は国際的な難民支援基準を下回るという厳しい指摘をした。」(55ページ)って、考えさせられますね。
被災者の安否確認や行方不明者の氏名公表(40~45ページ)、被災者台帳の作成(88~97ページ)あたりの記載を見ていると、災害時で人命優先なのでそうだろうと思う反面、個人情報の目的外使用なんて法令の根拠さえ作ればやり放題という感じで、やはり役所に個人情報を取得させたら国・行政のさじ加減でどうにでもできるのだなと思います。行政の甘い言葉にご用心、ですね。
中村健人、岡本正 第一法規 2021年8月20日発行(初版は2019年)
部外者の立場で読んでも、災害時には自治体が行うべきことや、被災者が直面する苦労・苦痛・不便がたくさんあるのだなということを実感できます。また、弁護士として、こういった行政法的な分野はふだん扱わないので、多くの法律や通達や取り決め、その改正があること、そして自分がそういうことをまるで知らないことを痛感しました。弁護士であれば法律を知っているなどというのはまったくの幻想だと日頃思ってはいるのですが、やっぱり事件として業務として取り扱わない分野のことは本当に知らないのだと改めてわかりました。知らない分野は怖くて手が出せないなと思い直します。
法律の分野でも特に行政法規では、条文がすごく複雑で、括弧が入れ子構造で長く続くものが多いのですが、著者がそういう領域を見慣れているせいか、この本でも根拠引用の長~い括弧が多く、とても読みにくい。括弧内をポイントを落として少し小さな字にするとかできないのかなと、自分が書くときにはあんまり考えないんですが、つくづく思いました。
「災害協定」というのが自治体が弁護士などの専門士業と被災した住民や事業者の再建等に資する法律や制度の情報提供・各種相談活動の実施のための協力要請の取り決めだ(24ページ)というのを初めて聞きました。災害対応の中で弁護士、法律相談の役割がそんなに大きいのか(単に「災害協定」という普遍的な用語でそういう意味なのかという驚き)と…まぁ、この本のタイトルが災害救援「法務」ハンドブックだし、著者が2人とも弁護士だから法律が重視されるということかもしれませんが。
「東日本大震災後に避難所の状況を視察した海外有識者たちは、日本の避難所は国際的な難民支援基準を下回るという厳しい指摘をした。」(55ページ)って、考えさせられますね。
被災者の安否確認や行方不明者の氏名公表(40~45ページ)、被災者台帳の作成(88~97ページ)あたりの記載を見ていると、災害時で人命優先なのでそうだろうと思う反面、個人情報の目的外使用なんて法令の根拠さえ作ればやり放題という感じで、やはり役所に個人情報を取得させたら国・行政のさじ加減でどうにでもできるのだなと思います。行政の甘い言葉にご用心、ですね。
中村健人、岡本正 第一法規 2021年8月20日発行(初版は2019年)