伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

セックス依存症

2021-10-26 06:52:51 | 実用書・ビジネス書
 さまざまな損失があっても性的逸脱行動を繰り返す性依存症について説明した本。
 性依存症の治療を続けてきた著者は、性欲が強くそれが抑えきれなくて性犯罪に走ったという人はごくわずかだと述べています(30ページ)。依存症は、それにより快楽を得られる(正の強化)というよりも、それによって心理的な苦痛や不安を一時的に緩和できる(負の強化)ために生じると、近年では考えられています(38~40ページ)。
 「往々にして依存症者は、根っこでは自分に自信がなく、自己肯定感が低いため、周りの人から嫌われることを極度に恐れています。『助けてと言ったら嫌われるかな』『お前なんかダメなヤツだと否定されるんじゃないか』など不安感を常に抱えています。『助けて欲しい』というメッセージを発信できない。」「さらに『自分から関係を切ってしまう』こともよくあります。」「相手に先制攻撃をすることで、自分の自尊心は傷つかないで済むように思えるからです。」「これは非常にいびつで複雑なメッセージです。いざ巻き込まれた周囲の人にとっては、振り回されるし、しょっちゅう裏切られるし、嘘も多いし、対応が難しいものです。正直、関わりたくないと思ってしまうのもしかたがないことだと思います。」「しかし長年の臨床経験から私がいえるのは、『困った人』というのは『困っている人』という面を必ず持ち合わせています。周囲から『この人と関わりたくないな』と煙たがられている人や『処遇困難例』といわれている人は、口で『助けて』と言えない代わりに、問題行動(症状)をエスカレートさせることで、周りにSOSを出しているのです。」(66~67ページ)。長々と引用してしまいましたが、セックス依存症、さらには依存症の人に限らず、こういう人はいるような、そしてそうは言ってもやっぱりこういう人と関わるのは面倒で嫌だよねと思うことはままあって、自戒というか、自分に言い聞かせるように…


斉藤章佳 幻冬舎新書 2020年11月25日発行
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