伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

暮らしのムダをなくす がんばりすぎない家事の時短図鑑

2022-09-02 20:17:00 | 実用書・ビジネス書
 家事を効率的に行うための気構えと道具立て、住まいの設計等を提案する本。
 ムダをなくす、時短とうたっているのですが、それよりも家事を気持ちよく行うための心がけや準備の方にポイントが置かれているように思えます。
 例えば「そのひと時の手軽さのために、長いスパンでの使い勝手を見落としてしまわぬように素材を選ぶ必要がある。手入れが面倒だと敬遠されがちな自然素材は、磨けば味もツヤも出る。工業製品より高価な場合も多いが、手入れをして使い続ければ長持ちするので、トータルで見れば安価とも言える」(126ページ)、「住まいをていねいに扱うと、器や家具をはじめとする身のまわりのものへの意識も高まり、本物と暮らしたくなる。そしてそれらを扱うことで、所作もていねいになる。ラクをすることで手放すものの代償は大きい。時間に追われるギリギリの生活を見直して美しく暮らしたいものだ」(135ページ)というあたりに著者の基本的な志向が表れています。家事についても、「毎日拭く、という小さな手間の積み重ねがきれいな床を守る。それはまわりまわって、自分をラクにすることでもある」(68ページ)といった具合。そういう方向性に共感し憧れるか、自分にはムリと思うかが評価の分かれ目となるでしょう。
 著者自身が描いたイラストもほのぼのとして、読んでいると、自分でもそういう生活をしてみたい、リタイアしたらそういうのもいいなぁと思えてくるのですが、実行するには、生き方についての意識も含めてけっこう決意を要しそうです。中途半端にマネしようとしていろいろ買い込んだ挙げ句に放り出すのが関の山という感じがして、そういうところが「キケン」な本かなと思います。
 気持ちよく家事を行う、効率的な動線を実現するための住まいの設計・リフォーム案が随所に見られるのは、一級建築士の著者ならではのアイディアの提案でもセールスでもあるのでしょう。
 そういう点も含めてみても、パラパラとめくるのに楽しく、手元に置いてみたい本です。


田中ナオミ エクスナレッジ 2022年2月2日発行
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