東京に出てアニメーターになるという夢破れて派遣社員として不満を抱え不安な日々を送っていた工藤紗栄子34歳が、郷里の青森で畳職人をしながらねぶた師として大賞を目指す兄春馬が脳腫瘍を患ったと聞き青森に戻って、ねぶた制作を続けると言い張る春馬を手伝い、次々と降りかかる問題に翻弄されつつ対応して行くという生きがい発見小説。
春馬が、正義は阿修羅の側にあるが阿修羅が相手を許す心を失ったがために天界を追われたという挿話をテーマにする理由を聞かれて、「ネット大衆は、目立ちすぎた者や何かに失敗した者、つまり攻撃対象を見づけると、皆で情け容赦なく攻撃すべ。集団で石を投げづけで、自分たちは正義の側にいると確かめ、安心すとる。つまりネット社会は複雑性を嫌い、善悪の二元すかねえ。だはんで、もっと相手を許す心を持だねばなんねと主張すだいんだ」と答える(47ページ)ところに作者の思いが表れているということでしょうか。
全編青森弁が飛び交うこの作品を読んで作者のプロフィールを見ると横浜生まれで早稲田大学卒業というのは…
伊東潤 徳間書店 2022年7月31日発行
「読楽」連載
春馬が、正義は阿修羅の側にあるが阿修羅が相手を許す心を失ったがために天界を追われたという挿話をテーマにする理由を聞かれて、「ネット大衆は、目立ちすぎた者や何かに失敗した者、つまり攻撃対象を見づけると、皆で情け容赦なく攻撃すべ。集団で石を投げづけで、自分たちは正義の側にいると確かめ、安心すとる。つまりネット社会は複雑性を嫌い、善悪の二元すかねえ。だはんで、もっと相手を許す心を持だねばなんねと主張すだいんだ」と答える(47ページ)ところに作者の思いが表れているということでしょうか。
全編青森弁が飛び交うこの作品を読んで作者のプロフィールを見ると横浜生まれで早稲田大学卒業というのは…
伊東潤 徳間書店 2022年7月31日発行
「読楽」連載