伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

美しき愚かものたちのタブロー

2022-10-01 00:02:09 | 小説
 国立西洋美術館のコレクションの中心をなす「松方コレクション」の由来と、それが第2次世界大戦の混乱の中フランス政府に接収され、フランス政府が返還を拒否し、一部が日本に「寄贈」される経緯を描いた「史実に基づくフィクション」。
 日本の若者たちに本物の西洋美術を(写真や複製画ではなく)見せたい、そのために美術館を作りたいと、絵画の収集・保管に携わった者たちの思いと運命に引き込まれ、長さをあまり気にせずに読めました。
 国立西洋美術館にロダンの彫刻やモネの睡蓮の絵が多数あるのはそういうことだったのかと、腑に落ち、ルノワールの「アルジェリア風のパリの女たち」がそんなに「傑作」なのかは疑問に思っていますが、そんなに数奇な運命の下に国立西洋美術館に収まったのかと感慨深く思えました。国立西洋美術館の常設展は、かつては金曜・土曜の夕方以降は無料だったので時折ぶらりと行っていたのですが、コロナ禍を理由に無料公開はなくなっています。久しぶりに入場料払って行ってみるか…


原田マハ 文春文庫 2022年6月10日発行(単行本は2019年5月)
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