ペット訴訟で有名になり「猫弁」と呼ばれる弁護士百瀬太郎が、三毛猫が行方不明となり、さらには身代金要求が来たという小学生からの依頼を受け、解決に向けて奔走するという小説。
シリーズ第4作で、シリーズ第1作「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち」の1年後(「猫弁と少女探偵」文庫版63ページ)、百瀬太郎40歳(13ページ、37ページ、42ページ)の設定です。
登場した人はたいていは後で事件に関わってくる、そこの持っていき方が巧みというか強引というかの作風ですが、この作品では、第1作で終わり際(「猫弁」文庫版332~334ページ)にエレベーターに乗り合わせただけの名前も聞かなかった少女を、少女探偵=依頼者に仕立てています。
裁判関係のことは避けて、基本的に裁判前に解決するように進行し、それは正しい方針だと思うのですが、時折不用意な記載が顔を出します。「訴状等々、公文書を書くことに没頭した」(264ページ)というのは、裁判所に出す書類は公文書だという理解をされているみたいですが、公務員が作成した書類(公務員が作成したと記載されている書類)が公文書で、公務員でない者が作成する訴状は公文書とは言いません。そういうことで違和感を覚えることが時々あって、弁護士としては、読んでいて引っかかり興ざめしてしまうのが残念です。
大山淳子 講談社文庫 2015年2月13日発行(単行本は2013年8月)
シリーズ第4作で、シリーズ第1作「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち」の1年後(「猫弁と少女探偵」文庫版63ページ)、百瀬太郎40歳(13ページ、37ページ、42ページ)の設定です。
登場した人はたいていは後で事件に関わってくる、そこの持っていき方が巧みというか強引というかの作風ですが、この作品では、第1作で終わり際(「猫弁」文庫版332~334ページ)にエレベーターに乗り合わせただけの名前も聞かなかった少女を、少女探偵=依頼者に仕立てています。
裁判関係のことは避けて、基本的に裁判前に解決するように進行し、それは正しい方針だと思うのですが、時折不用意な記載が顔を出します。「訴状等々、公文書を書くことに没頭した」(264ページ)というのは、裁判所に出す書類は公文書だという理解をされているみたいですが、公務員が作成した書類(公務員が作成したと記載されている書類)が公文書で、公務員でない者が作成する訴状は公文書とは言いません。そういうことで違和感を覚えることが時々あって、弁護士としては、読んでいて引っかかり興ざめしてしまうのが残念です。
大山淳子 講談社文庫 2015年2月13日発行(単行本は2013年8月)