

先々週だったと思うが、横浜駅から自宅に戻る途中の道路の街路樹の低木として植えられている紫陽花の花が咲き始めたのに気付いた。蕾から少しだけ青い色をつけた花がいくつか咲き始めていた。あれから二週間、ようやく濃い色の紫陽花が目につくようになった。
この紫陽花は例年とても濃い青の花が咲いて見事である。毎年楽しみにしている。私は青というか、濃い深い紺色の紫陽花が好きである。
七変化という別名は、咲きはじめは白で次第に色が変化することでつけられた名前だが、これが誤解を生んでいる。色が赤から青、あるいは青から赤に変化するというのではない。あくまでも白から赤、あるいは白から青また紫などの固有の色に変化するのである。
赤、青の色を決定するのは、土の酸・アルカリによると云われる。酸性の土ならば青や紺に、アルカリ性の土ならば赤や赤紫になると記載されることが多い。
ひとつの株であってもいろいろな色が咲くのは、同じ土壌でも枝によって色素の発色を変えるアルミニウムイオンの量に差があるためと説明されている。
★兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花 正木ゆう子
★ヨハネの首と思ふ紫陽花切りにけり 岡田久彗
★紫陽花の色それぞれに路地住まひ 小林照男
★ははへ父返しあぢさゐ月夜かな 酒井裕子
★紫陽花の人影といふ色加ふ 三井量光
★紫陽花咲きやがて硝子工となりてゆく 塩野谷仁
★あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ 橋本多佳子
★あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒 乙二

