Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

本日から「『快楽の園』を読む」

2018年01月14日 23時25分46秒 | 読書


 本日から読み始めた本は「『快楽の園』を読む-ヒエロニムスの図像学」(神原正明、講談社学術文庫)。
 序章「『快楽の園』の全体像」となかなか読みにくい28ページであった。途中で投げ出したくなったが、第1章以降は何とか読み進められそうな気がしてきた。

 実は「戦中日記」(高見順)が年末から見当たらない。どこか置き忘れたわけでもないと思うが、リュックにも、本棚にもない。白いカバーをしていたので目につくのだが、何とも情けない。すでに7割以上は読み終わっている。がここまで読み進めて途中でやめるのも嫌なものである。
 ただし8月15日以降の部分の記述は、現在の渡しからすると「これはちょっと読むに堪えないな」という部分がたくさん出てくる。旧日本軍に対する評価、沖縄戦や原爆・空襲被害に対する評価、中国での日本軍の蛮行に対する評価、米軍に対する評価、日本の政治支配者に対する評価、天皇制への考え方等々、世代のギャップといってしまうにはあまりに溝が深すぎる。
 あまり読む気が失せてしまっていたことは確かである。しかし是非とも出てきてほしい。最後まで目はとおしたい、と思っている。

ゴッホ展の感想〈4〉

2018年01月14日 13時45分13秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
   

 これは「ヤママユガ」(1889年、ファン・ゴッホ美術館)。ゴッホもこのような作品を残していたのかと驚いた。このような花鳥画が3点ほど、そして素描が2点ほど展示されていた。素描は細かな細密画を思わせるようなものである。
 特に素描、デッサンから秋田蘭画を思い出した。佐竹曙山や小田野直武の細密画である。昨年読んだ「江戸の花鳥画」(今橋理子、講談社学芸文庫)でありあげている諸家のさまざまな作品が去来した。
 しかし博物学的な見地から描かれたものとは違い、これを近代芸術家の眼で再構成したように思った。しかし参考として展示されているものは、二代目広重の三十六歌撰などの浮世絵なので、細密画の影響ではないのかもしれない。
 しかし二代目広重の三十六歌撰は、近景に花を大きく写実的に描きながら、中景に風景に溶け込んだ人々や人工物を描いている。
 ゴッホの作品は「ヤママユガ」そのものが主題である。だとすると浮世絵などよりも博物学的な細密画そのものを芸術的な作品としてみようという指向性を感じるべきではないのかと思った。
 秋田蘭画が、長崎という小さな窓から影響を受け、それが西洋の画家に影響を歌えたということなのであろう。しかし私にはゴッホが浮世絵以外の日本の細密画を研究したという情報は持ち合わせてはいない。ゴッホの受けた影響はあくまでも浮世絵とされている。
 1989年、亡くなる前年はサン=レミの療養所の中で描く対象が身近なものに限られたとはいえ、様々な試行を繰り返したゴッホという画家のエネルギーには驚嘆に値すると思った。




 本展覧会のゴッホの作品では最晩年の作品と思われるのは「ポプラ林の中の二人」(1890年、シンシナティ美術館)である。この作品も私は初めて目にする。
 「下草とキヅタのある木の幹」や「草むらの中の幹」「ヤママユガ」などのように空や水平線が消え、明るい色調に彩色されている。「草むらの中の幹」のような木々が人工林のように直線状に整然と立っている。林の奥は空のようでもあるが濃紺で塗られているが、これは空ではなくあくまでも「背景」として明るい花と草を際立たせるための彩色に思える。リズミカルな木の配置と白と黄と緑の下草と花々、それらの筆の方向のリズムは心地よい効果を与えていると思う。
 しかしそれだけでは絵として散漫にするのでほぼ中央に人物二人が配置されたと思うのだが、この人物、他の晩年の風景画に現われる人物よりも実在感が希薄である。二人の人物の下半身は草と花の向こうに隠れている。人物のある所だけ男の胸の高さまで花の色が描かれており、これでは男女の二人がのんびりと歩くのは不可能である。しかも草や花の丈と比べて小さすぎる。ゴッホの風景画に描かれる人物はいづれも顔の表情がわかるものはない。しかしこの作品では存在そのものが危うい。不思議な作品である。

 この作品以降、展示はゴッホの日本受容の歴史に関する資料であるが、この感想は省略したい。

冬枯れには常に惹かれる

2018年01月14日 11時03分05秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 昨晩の北風はだいぶ強かったようだ。横浜の瞬間最大風速は0時半に12.7メールを記録していた。今朝は風はすっかりおさまり穏やかな日である。気温の予想は8℃と平年並みらしい。
 昨日書きかけたゴッホ展の感想の続きを仕上げてから、書類整理をいくつか。午後は出かける予定あり。

 昨日は冬枯れ、枯れすすき、芭蕉の枯れた景色も堪能した。

★光らねば冬の芒になりきれず     後藤比奈夫
★取寄せの口笛かすか枯峠       佐藤鬼房
★大芭蕉従容として枯れにけり     日野草城