帰宅途中で本屋に立ち寄った。昨日、吉田秀和の「セザンヌ物語」を読み終えて、無性に短いものを読みたくなった。家に帰れば読みかけの本もあるし、まだ目をとおしていない本もあるのだが、喫茶店で読むのに無性に新しいものが欲しくなった。
むろん文庫本でなければ購入できる金額は持っていない。有隣堂の文庫本売り場をいつものとおり歩いているうちに、喫茶店に入る時間も無くなってしまった。しかし購入したい衝動は抑えられず、「東京百年物語 ② 1910~1940」(岩波文庫)と「印象派という革命」(木村泰司、ちくま文庫)を購入してしまった。
「東京百年物語」には17編の「東京」を扱った作品が並んでいる。森鴎外「普請中」からはじまり、中野重治「雨の降る品川駅」や中原中也「除夜の鐘」「正午」などの詩も含まれている。
表紙の作品は、川瀬巴水「清洲橋」(1931)。
「印象派という革命」は近代という時代の中での位置づけを目論んだ論考のようだ。表紙の作品はモネの「印象、日の出」(1872)。
ともに表紙に釣られたような面もある。
喫茶店に寄る時間も無くなり、バスの中で表紙を眺めているうちに降りる停留所となってしまった。