本日は「漢字の成り立ち」(落合淳思、筑摩選書)の第六章「字義からの字源研究」を読み終えた。
第四章と第五章で、字音を重視した加藤常賢と藤堂明保、字形を中心とした白川静の功績と問題点を述べ、第六章ではこれまで刑死されてきた字義による字源研究の可能性について言及している。
字音、字形、字義等々の複合的なアプローチを著者はめざしている。いよいよ明日からは最終章である第七章「最新の成果」を読み始める。
白川静の字形と祭祀・習俗の推定に基づく論理の飛躍と大胆な仮説、その成果に基づく中国古代と日本の古代の比較の世界を楽しんできた私には、いささか寂しさもある。しかし著者による白川静の研究の問題点については、私も感じていたものばかりで、私にとってはうなづけるものである。新しい成果を踏まえた、現在の地平を垣間見たいものである。