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凍える鏡 (2007/日)(大嶋拓) 70点

2008-07-18 11:42:34 | 映画遍歴
母親から何故か幼児期に虐待を受けて成長した青年と童話作家の老女とその娘との3人をトライアングルで奏でる氷が凍えて融解するまでの寓話であります。

見た目はちょっと切れ気味ではあるけれども温和そうな青年。別に人格障害なんて大それた病気だとも思わないけれども映画では一応病人であります。何かこういう青年はそこらにいるような気もします。特に危険は感じない。

その青年が気になった老作家、通常であれば彼女が一番ノーマルな役どころなんでしょうが、彼女も母親放棄の性癖も見えてくる。よく見ていくと彼女が現象的に一番アブナイ女に見えてくる。このあたりはさすが、渡辺美佐子うまいです。

青年をクリニックする女医は老作家の娘でもある。女医でありながら、母親への不満をしこたまためており、駄々っ子をこねるあたりはむしろ患者の雰囲気も漂う。しかも、患者である青年を嫉妬し始め性行為に及ぼうとするあたりはいかにも作りもの的で興ざめでもあった。彼女は本当に精神科女医でしょうか、、。

と、演劇であれば結構面白い素材なんですが、リアリズムを要求される映画となっては少々作為的というか人工的な展開に鼻白むこともあった。

ラストはそれでも救いのあるものではあったが、これが現代を象徴しているとなると、現代人はほとんどが病理に囲まれていてたくましさを全く欠如してしまっているような想いにとらわれる。そうかもしれないが、何か生活感が全く欠如している映像からは寓話とはいえ僕にはあまり入り込めるものがなかったように思われた。

映像的には静謐な自然が美しく魅力的であった。

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