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グエムル 漢江の怪物 (2006/韓国)(ポン・ジュノ)

2006-09-02 22:15:40 | 映画遍歴
冒頭部のグエムル出現のあの惨事はとてつもない迫力でした。ポン・ジュノの映画と思えないことで自分の中でその後の映画を鑑賞する判断に波紋を感じたのも事実です。

この映画は変なことが多く、(ボン・ジュノの映画では当たり前ですが、、)まず、ストーリー的に考えるとあんなもので退治できるグエムルを、軍隊がちょっと攻撃すればいいものを、出陣させないのは何故、、。

次に、ヒョンソ一人を助けるために叔父、叔母が何故あそこまでやるのか、といった説明がなかったので(祖父、父親は当然だろうが、、)何か不思議でした。

それと、父親とかが簡単に脱出できちゃうのもやはり安易過ぎる展開。

と、こういう部分はポン・ジュノ映画ではあまり意味を成さないというのは分かっております。しかし、この映画は単なるアクション映画だと思っている向きもあるので、この辺りぐらいはしっかりと押さえて欲しかったと思っている次第であります。

で、本題に入りまして、あのグエムル、現代の怪物は何だろうかということです。

多少アメリカ支配とか、ウイルスとかそれらしきテーゼは示されてはいましたが、そんなものはポン・ジュノにとっては恐らく飾りでしょうから、現代に生きている人たちから生み出される息というか、匂いのようなものの象徴ぐらいに考えればいいんでしょうか。

アメリカという権力の存在から生じる廃液を、ただ命令という社会秩序だけで垂れ流してしまった、いわば僕たちが何気なく行っている日常というものに起因するものから生じる怪物、といったものなのでしょうか。

ラストが相変わらず鮮烈なポン・ジュノですが、あの食卓光景は凄いです。愛しい娘を奪った事件の顛末を伝えるテレビニュースを足で消してしまう父親。新たな現代の怪物の出現を想像させるに十分なカットでした。

と、この映画はいろんな角度から考えることが出来ます。恐らく見る人にとってはそれぞれ違った解釈をするでしょうから賛否両論もあるんでしょうね。

ソン・ガンホはいつもより柔らかい演技。パク・ヘイルは少し顔が丸くなって、最初分からなかった。火炎瓶なんか作って楽しそうでした。ペ・ドゥナは応援演技風。やはり娘のコ・アソンが魅力的で溌剌とした演技。引き立ちました。
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