人間、あと自分の命が24時間だとしたらどうするか、といった究極のテーマであります。それはみんなが一斉に消滅する世界の終末などではなく、いわば突然配布される個人の死亡予告書を通じてであります。
拠り所は法律だ。となると、ふと思い浮かべるのが戦争中に送られていた召集令状すなわち赤紙である。ただ、あの時は今で言う郵便配達人が事務的に渡していただけなので、この映画のイキガミとは随分様相が違う。イキガミを配達する松田は死亡予告をしたのち見届ける役目も負わされている。そのため、否でもイキガミの意味を考えようとする。
予告された者からすれば、これは例えばホスピスの限られた時間での空間と全く同じであり、人間、あと命がわずかだと知った時、これからどう生きて行くか、どう死んで行くのかということと同問題なのである。このテーマを3つのエピソードで追求している。
路上バンド出身の二人の生きる上での心の分かち合い。引きこもり少年の母親への嫌悪を通じて描く悪法への憤りそして廃法への想い、死と引き換えに妹へ捧げる角膜移植。すべてずしんと僕の胸を突く。3話目の1時間の誤差を病院全体が協力して成し遂げるそのやさしさに涙が止まらなくなる。べたべたと廊下の壁に張ってある注意ポスター。それを見ただけで号泣する。
でも、それでも、どうあがいても、死は確実にやってくる。その暗い足音にも恐怖を覚える。少し前だったら漫画チックで現実感に欠ける話でしょうが、現代でこれだけ格差社会を問われるようになると、このイキガミがものすごく他人事だとは思われない恐怖感をあぶり出している。映画の国繁死亡者は戦時中に戦争の名のもと死んでいったいわゆるわだつみの人と変わらないのである。
映画では確か彼ら国繁死亡者について切り捨てられた人たち、という表現をしていた。何かそぐわないなあと思ったが、(本来は国により抹殺されたと言うべきものではないか、、)瀧本智行は現代の格差社会での負け組を連想させているようでもある。
あと1日であろうと10年であろうと人間の命のあり方を問うているテーマ性はエンターテイメントの形式を採ってはいるものの的確であり、またひとりひとりの観客への訴求性は鋭いものがある。それは時代を超えて人間に根源的な問いかけをしているのである。
瀧本智行は「樹の海」でも秀逸なオムニバスを撮っていたが、同じくテーマは死と向き合うことにより生じる「生」であった。彼のライフワークになるかもしれませんね。
拠り所は法律だ。となると、ふと思い浮かべるのが戦争中に送られていた召集令状すなわち赤紙である。ただ、あの時は今で言う郵便配達人が事務的に渡していただけなので、この映画のイキガミとは随分様相が違う。イキガミを配達する松田は死亡予告をしたのち見届ける役目も負わされている。そのため、否でもイキガミの意味を考えようとする。
予告された者からすれば、これは例えばホスピスの限られた時間での空間と全く同じであり、人間、あと命がわずかだと知った時、これからどう生きて行くか、どう死んで行くのかということと同問題なのである。このテーマを3つのエピソードで追求している。
路上バンド出身の二人の生きる上での心の分かち合い。引きこもり少年の母親への嫌悪を通じて描く悪法への憤りそして廃法への想い、死と引き換えに妹へ捧げる角膜移植。すべてずしんと僕の胸を突く。3話目の1時間の誤差を病院全体が協力して成し遂げるそのやさしさに涙が止まらなくなる。べたべたと廊下の壁に張ってある注意ポスター。それを見ただけで号泣する。
でも、それでも、どうあがいても、死は確実にやってくる。その暗い足音にも恐怖を覚える。少し前だったら漫画チックで現実感に欠ける話でしょうが、現代でこれだけ格差社会を問われるようになると、このイキガミがものすごく他人事だとは思われない恐怖感をあぶり出している。映画の国繁死亡者は戦時中に戦争の名のもと死んでいったいわゆるわだつみの人と変わらないのである。
映画では確か彼ら国繁死亡者について切り捨てられた人たち、という表現をしていた。何かそぐわないなあと思ったが、(本来は国により抹殺されたと言うべきものではないか、、)瀧本智行は現代の格差社会での負け組を連想させているようでもある。
あと1日であろうと10年であろうと人間の命のあり方を問うているテーマ性はエンターテイメントの形式を採ってはいるものの的確であり、またひとりひとりの観客への訴求性は鋭いものがある。それは時代を超えて人間に根源的な問いかけをしているのである。
瀧本智行は「樹の海」でも秀逸なオムニバスを撮っていたが、同じくテーマは死と向き合うことにより生じる「生」であった。彼のライフワークになるかもしれませんね。
意外といい映画でしたね。若者にも受けそうなPRぶりなんですが、どこまで見て頂けますかね。
テーマ的にはこういう映画をしっかりと見てもらいたいです。
最近見た「崖の上のポニョ」はもう2カ月以上の上映期間になるのにまだ満席状態でした。
ところが映画を見てびっくり。危険な映画です。あの映画を見て、ポニョがかわいいと喜んでいる大人のいることが恐ろしく思えました。
考えすぎかもしれませんが、、。
では、また。
観賞後の感想は、思っていたより佳かったと思いました。いま、ヌートリアEさんの評を拝読しました。割合ご好評のようで、安堵の胸を撫で下ろしました。
以下に私の簡単な感想をコピーさせていただきました。
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SF的な発想で興味を掻き立てるものがあった。そこに兄妹愛や、親子の愛と恩讐を搦め、国家の悪法やマスコミへの批判等を熱っぽく盛り付けしている。
映像については、冒頭のチカチカには眼の弱い私は参って眼を背けてしまった。ストーリーの展開に連れ、ハイ・キー、ロー・キーの交錯が目立つ。銀残しもあったように思う。なかなか奥行き深い撮影である。
演出面では、フラッシュ・バックも巧みに小気味よいテンポで心地よかった。若者言葉は出るものの、エログロ的要素が皆無なのが後期高齢者の私には実に嬉しい。若手俳優陣もベテラン助演陣に呉して健闘している。後味も爽やかだ。
「それ以上、口にしないことです」という台詞があったように、ネタバレしないうちに、これにて初日初回上映の鑑賞記を終えよう。
もし在れば アカガミよりも 怖きイキガミ