青春とは字のごとく本来は思春期を表すのだろう。時代や世相、そして人間が変わっても、思春期特有の甘酸っぱさと現実逃避への思いはそれほど変わらないのではないだろうか、、。だからこそ文学が生まれる、と僕は思うのだ。
そしてこの映画。最初の方。昼食時の中庭で、屋根の上にいる俊と目が合って瞬時に恋をする見事なカット。素晴らしい。このシーンで僕はググイとこの青春映画に入り込む。さらに一段と濃密で初々しい絵画のような映像がアニメとアニメとの間で心地よいリズムを生じさせている。あまりに絵がいいので、例えば遠くを航行している船が幼稚で(簡素で)漫画っぽく見えてしまうほど。
その後、青春している僕はもうこの映画がノスタルジーに負い過ぎていることも忘れ、その、今そこにある時間だけを甘く体験しているのであった。
この至福。これぞ青春映画の特権であろう、甘い恋、切ない時間、ひとときの永遠。
学園紛争という厄介な時代性を無理に嵌めた展開は少々無理強いで現代の若者には気の毒だが、それでもこの時代の青春の瞬間の色をこの作品からは感じられるはずだ。
とか言っているこの僕、十分この時代を知っているオジンであるが、映画を見ている間はさわやかな風がずっと僕の体を吹き抜けていたことを告白いたします。是非、みんなに見てもらいたい映画ですね。
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