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シリアスマン (2009/米)(ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン) 80点

2011-03-05 15:42:16 | 映画遍歴
いやあ、そりゃあ【コーエン兄弟】がユダヤ人というのも知らなかったし(知ったからってどうということないけれど)、出演俳優が結構みな不細工なのでほんと、シリアスな人間たちの、親近感あふれる悪夢映画でした。

ユダヤを徹底的に描写しているのは我々日本人には目を見張るような驚きがあるが、現地アメリカではどうなんでしょうなあ。また違う見方が出るのかもしれません。やはり日ごろ見慣れているキリスト教社会からはちょっと隔絶しているものだから、ちょっと魔術的な印象を僕は感じ取ってしまった。ラビなんて、映画では滑稽に描かれているけれど、やはり少々不気味だね、、。

この映画の主人公のように、これだけ次から次へと不幸に見舞われる人間はそういないのではなんて思ってしまう書きぶりだが、僕は人間の人生なんてこんなものだと思っている。冒頭で現れる悪霊を完全退治しない限りは現在生きている人間に不幸は絶えることはないのだ。それをコミカルにシニカルに描いてはいても、コーエンの厭世感は全編を覆い尽くす。

人間なんて、不幸は常に感じるけれども、幸せはそう感じないものだ。毎日の生活に退屈を感じればむしろそういう時が幸せなんだと思う。なぜなら幸せという概念はシアワセ状態の時には分からないものなのだと思う。この寝ても覚めても24時間悪夢状態の主人公は、まさに現代人の我々を表しており、その主題はオーソドックスな描写方法だった『バートン・フィンク』と対照的な表現ではあるものの、同様であり、僕はその焼き直しだと思う。

とにかく面白かった。でも、この素材でスターを起用しても、テーマがずれないようにするぐらいは【コーエン兄弟】の技量を持ってすれば簡単じゃないの、と僕は思ってしまうが、いかがでしょうか、、。ちょっとユダヤユダヤ過ぎて映画を見る楽しみもそがれた感あり。ちょっといい女というのが隣の中年女だけというのもねえ、、。




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