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幻影師アイゼンハイム (2006/米=チェコ)(ニール・バーガー) 85点

2008-06-18 16:29:51 | 映画遍歴
幻影師アイゼンハイムに、否ニール・バーガーに幻惑させられ、画面にずっと引き付けられ、濃淡の秀逸な絵画的映像に魅せられ、挙句の果てに身体ごと投げ出され騙されてしまいました。これには、堪らなく憎たらしいが、笑みが出るほど騙したニール・バーガーをぞっこん褒めてあげたい。

まるで「嵐が丘」のような思春期の二人の強い愛。これだけで十分二人の絶壁の愛を感じさせる。これがこの映画の基礎となっている。演出といいカメラといいヨーロッパ映画風だ。ため息が出るほどりりしい展開にどんどん画面に見入っていく。セリフは少なく、映像でぐいぐい押していく展開は魅惑的だ。

後で考えると観客にはこの映画の伏線を全部演技で説明している。アンフェアではない。(例えば若い二人が引き離されそうになる時、少女がこのまま消失したい、と言って少年が念じても何も起こらなかった。すなわち少年は超能力者ではなかった。)

エドワード・ノートン、やはりうまい。この役は映画での登場人物と観客である我々をも騙さないといけない難役である。それをさらっとやってのける俳優はそうそういない。

対して、受け役のポール・ジアマッティ。観客は彼を憎むべきだろう。彼と意識を同化させてしまったから、すっかり騙されてしまう。ノートンと同じくすこぶる緊密な演技で舌を巻くほどだ。

はかなさも出しながら高貴な演技を披露してくれたジェシカ・ビールもまた違った魅力を醸し出している。この3人同様皇太子役のルーファス・シーウェルも若き権力を行使する実権者を見事に表現。

うーん、映画って、すべてがこれだけそろっていると秀作になるんですね。ラスト見事にひっくり返る大逆転は最近これだけスカッとする映画もあまりないです。この映画に関しては僕はあら捜しをしません。これだけ正直打っちゃりを食っちゃったらもう見事の一言で、完敗です。でも、あまり嬉しくてニヤニヤしちゃいます。好きだなあ、この映画。娯楽作なんだけど素晴らしい絵画を見たような読後感もあります。お薦め作です。

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