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花のあと (2010/日)(中西健二) 75点

2010-03-31 13:11:07 | 映画遍歴
『青い鳥』で並々ならぬ才能を見せた【中西健二】の2作目。前作が現代のイジメを通して凍れる心を、そして本作は時代劇へと確かな挑戦をしている気になる映画監督だ。

もう映画化では多作過ぎて流したくなる藤沢原作ものである。時代劇だから、まず時代考証、武家の身だしなみ、作法等々、現代では忘れかけている日本文化というものに真正面からぶつかっている。

障子の開け閉めの基本的な作法には少々僕でも驚く。右手左手を凛々しく交互に使う。開けたら膝を崩さず前ににじり寄る。うーん、茶道でもよく見るが普段の武家の生活には基本的な動作なんだろうな。少々うなります。

繰り返し出現するが、桜満開での初めての剣士との言葉の交わし、そして初めての試合。その二人の見つめ合う表情で愛を表わす映像は観客にも納得させるものであり、好感が持てる。

それを過ぎると、通常の時代劇になってしまっている感もなくはないが、夫となるべき【甲本雅裕】の大らかな演技で幅を持たせた展開を見せてくれる。もうちょっと若い男優でもいいのかなあとも思ったが、なかなか秀逸な演技で好配役であった。

ハイライトの女剣士シーンはまあいろいろ意見はあろうが、いいのではないだろうか。女剣士だから恐らく映画化される理由があったのだろうし、結構あでやかさもある。いいハッピーエンドなのである。何より新鮮な主役3人の俳優の好演はこの映画の質を上げてくれている。いい気分で映画館を出られる稀有な映画でもある。

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