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クリーピー 偽りの隣人 (2016/日)(黒沢清) 80点

2016-06-22 18:14:18 | 映画遍歴

久しぶりの黒沢のホラー映画ですね。それがうれしい。ただ前半は説明調でいつものドカーンがない。あれ、どうしたのかなあと思っていたら、後半になってまさに黒沢し始めた、、。

この映画の面白いところは、なんでそうなるの、といった謎がさらに謎を吹き回し、そのうち黒沢の独自の世界を構築してしまうところでしょう。

警察なんてあってないがごとく、しかも一般人と変わらぬ様を呈し、どんどん殺される。弱いし、警察機能を果たしていない。でもその段階でその状況をもう十分黒沢はホラー化してるんですよ。

そして何故か愛妻の竹内結子のサイコパスに取り込まれる様、また何と強いはずの元刑事一課の主人公西島秀俊までがとうとうサイコパスの餌食となってしまう。こうなると我々観客はもう頼りにする何かをまったく失うわけです。そういう状況ホラー。絶望に陥る観客たち。

もはやこの物語には通常の映画としての終焉はないと思った車での移動シーン。西島は手錠をかけられている。このまま絶望的にこの映画はジエンドするのだな、と思っていたら、何とラスト、スカッとするどんでん返し。

映画の醍醐味ですね。香川は人でないかのごとし血さえ出さないで死す。あの竹内結子の強烈な慟哭は我ら観客の思いでもあったのです。これでなきゃね。やはりホラーは黒沢映画の本道です。

演技的には香川照之はいつものすごさを見せつけるが、でもそろそろデジャブ感もありますね。西島は甘さが出てちょっと弱い感もした(映像で彼より背の高い俳優が出るのは珍しく、ちょっと損したかな)。役所広司だったら多少のマンネリ感はあるか。

竹内結子はそれなりに盛り上げている。さすがただでは年は取らん。先ほども言ったけど、東出昌大は背が高いね(189センチらしい)。周りの影響も考えなければいかん(自分が主役だったらいいけど)。

とか、勝手に書いちゃいましたけど、黒沢のホラー映画を見て僕はゴキゲンです。面白かった。


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