若い女という題名なのに、容貌からも決して若くない女で、そのうち31歳ということを知る。フランスでは30才を超えてもマドモアゼルと呼ばれ、まだまだ娘なのだという話を思い出す。日本とは違うのだということをまずピン止めする。
そう、適当に嘘はつくは、安全だと思っていた男からは誘惑され慌てて逃げ出す無軌道な女ぶりだし、正直いい女ではない。実母から嫌悪されているところからもどうしようもない女なのである。でも見ていてそのうち可愛くなってくるからこの女、不思議だ。
躍動感のある映像スタイル。映像は常に動きがあり、ハアハア息づいているようだ。これがこの映画最大の魅力です。
でも考えたら31才にもなってこんな体たらくだったら、と思っても、最近の日本の女性もこんなものではあるまいか、と思うようになる。この映画は、パリの街を捨てられた野良猫のように彷徨うひとりの女性を、若い女と言い切ってしまう思い切りの良さがある。
けれど、生活の安定をふと考えて、元カレから子供を産んでくれと言われ、しっかりと自分の心をあり方を探り始めるこの女は、惰性に流されることなく、自分自身で自分の道を切り開いてゆくのである。原点に戻ることが彼女の人生の通過点であり、一方再出発点でもあったのだ。
実にさわかなラスト。そうだからこの映画は十分青春映画たり得る。走れ、走れポーラ。まだまだ人生はだらだら長いよ。
佳作です。
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