セントの映画・小演劇 150本

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マルタのやさしい刺繍 (2006/スイス)(ベッティーナ・オーベルリ) 70点

2008-11-27 14:22:16 | 映画遍歴
何か見たことのあるような少々手垢のついたテーマの女性映画かな、と思う。80歳だって女であることには変わらない、若い人たち(ここでは息子たち(立派な中年)に左右されたくないワイ、といった能動的、自主的な気持ちが前面に出ていて面白いのですが、ちょっと図式過ぎるかな、と思ってしまいました。

4人の十分立派な老女たち。ダンナが亡くなって余生を送るようなそんな生き方を想像していた息子たちは、母親の芯の強さ、人生へのたゆまないエネルギーに、現実の自分を思い起こして逆に驚いてしまうのであります。この辺りの働き盛りの大人たちが皆一様に保守的という不思議な図式が見られます。

ちょっといくらなんでもそうはいかないのではないの、と僕なんかは思ってしまうわけですが、映画では50歳前後の家を支える人たちがランジェリー一つを取ってみても厳粛で堅物なのです。いま時そんなはずは、、と穿った見方をしてしまいます。

で、自由を信望しているのが老人たちで、圧政に屈していたとされるヤングたちも賛同しラストの解放になるわけですが、匂いますねえ。これは少々胡散臭さと後ろで何か操作しているような人工的なものを感じてしまいます。寓話といえばそれまでですが、老人たちを対象にした(観客を含めて)商売のようなものを感じるわけです。

同じく老女を対象にしたイギリス映画「柔らかい手」の、自由で人間的なものへの追求といったテーマとは雲泥の違いがあるように思いました。人間の自由を描くのであれば作る方が自由であり、まず自分を解放してからでないと、と思ってしまいますが、、。

と、偉そうなことを言っています。でも、映画としては楽しく作られており、及第点ですよ。

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