ミステリー映画なんだけど、いわゆる犯人捜しなどでない。スターリン体制下での魑魅魍魎な社会現象を題材にした娯楽作品であります。
なんといってもねえ、共産主義体制には殺人事件は起こりえないという想念で、44件の男児殺人事件をすべて事故処理にしてしまう社会体制には、もう開いた口が塞がらないというか、それにずっと付き添っていた人たち(国民も含めて)がいることを思えば、まさに恐怖以外の何物でもない。
一人の将校が真実を追求しようとすると国家権力はむき出しになってそれを阻止しようとする。その物凄さ。それは理想化された共産主義ではあってはならない事件とはいえ、人間って本当に何をするのか分からない生き物だと思う。
でも映画を見ていると、その主人公の将校がなぜそれほど真実を追求しようとしたのか、が本当のところよく分からない。レオが孤児だったからなんだろうか。映画では触れない。
がんじがらめの結婚生活から自然と夫婦愛が生じてくる二人の行動はこの作品の見どころの一つだが、でも何か自然ではない。あんな恐ろしい事件の解明に妻が夫と一緒に行動するだろうか、(それが二人の愛の確認であることはさて置いて、、)
まあ、ミステリーだと思っていたら、全然そんな雰囲気はないんだよね。クライム映画であることは間違いないけど。「このミス」1位の原作だからかなり変えてしまっているんだろうなあ、、(新たに読む気はしませんが)。
それにしてもレオ役のトム・ハーディは結構ビンビンに乗ってました。目立った。躍動力があります。今、旬の俳優なんだね。あと、敵役のワシーリー将校のジョエル・キナマンも際立つキモサで印象的だ。
こんな作品が現代に登場するということの意味を考えるに、アメリカもイギリスもそして日本も、少々時代が危ないということなのでしょうか、、。
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