セントの映画・小演劇・ミステリーあれこれ 100本

観賞数 2025年 映画 11本、 演劇 08本

SAYURI (2005/米)(ロブ・マーシャル)

2005-12-10 22:06:53 | 映画遍歴
期待を上回る力作。アメリカから逆に芸者というものを勉強させていただきました。こういう感覚って「ラストサムライ」のときもありました。時代考証もかなり正確で、当時の家並みもCGなんだろうけど、スゴイです。
音楽が少しオーバー目なんだろうけどそのうち慣れてきます。でも、美しいし力強いね。ハリウッドという感じ。
映像が緊密で美しい。豪華だ。かなり好きな色合い。いいね。
演出がこれが小気味いい。きびきびしてる。そのうち全篇英語というのも忘れてくる。
この映画一番すばらしいのは実が俳優の競演なのだ。主役よりむしろ脇役の方がボルテージが高い。
まず、コン・リー。ちょっと下唇を突き出したような表情に頂点を通過した女の自負と哀しさを出している。彼女がこんな意地悪な女を演じても彼女自身に高貴さがあるせいか憎たらしくならない。怖さは凄みがあるぐらいすごい。まだまだ美しいしとてもよかったです。
姉さん役のミシェール・ヨー。芸者としてのイロハ、人間を教えるキーの役なのだが、これがまたまたうまい。きれいだ。彼女を見ているといつも人生を感じてしまう。そんな、存在感のある女優だ。
置屋の女将役の桃井かおり。これもうまい。計算高さと浮世を渡るしたたかさをかねた少しオーバーアクト気味の演技だが、うまい。うなりました。
出番は思ったより少なかったけれど工藤夕貴。踏みにじられたままでは収まらない本当の女の情感を良く出している。ほとばしる感情を内面に抑えた辺りの演技もすばらしい。
少女時代を演じた大後寿々花。彼女はもう将来十分そこそこの女優になれます。輝いています。
役所広司は損な役回り。どんな演技をしてもそんなに目立たない。彼がこんなに目立たないというのも僕はあまり記憶がないほど。
ところで、最後になるが主役の二人。こんな脇役のオーラのせいか、どちらかというとまともな性格の役柄でもあったのでいまいち目立たなかった、という僕の印象である。
チャン・ツィイーとコン・リーの関係はこの映画の役柄と重複して見え、意味深だなあと思ってしまう。
渡辺謙が主演していたからだろうか、この映画、女版「ラストサムライ」のような感じを持ってしまった。今、日本がこんな形でアメリカから興味をもたれているのだろうか、、。
なかなか2時間30分と長時間の映画だったが、十分鑑賞に堪えられる力作だと思いました。
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