淡々とドキュメンタリー風に流れる映画書体。特に題名が出てくるまでの長い冒頭は、音楽もほとんどなく、セリフも少なく、タッチはベルギーのダルデンヌ風だ。
何かあったら二人は猛烈に走る。走る、走る。別に誰かが追いかけているわけでもないのにとにかく走る。疾駆する。若いのだ。エネルギーが溢れてる。けれど、彼ら、若いのにもはや社会に片隅に生きさせられていると感じてる。老成している。そんな弱者同志の二人がくっつくのには無駄なエネルギーは要らない、、。
現代の日本で、警察に追いかけられながら、逃避できるところなんてあるのだろうか、と思っていたら、ところがあるのだ。近畿でもかなり地味目のところ、和歌山だ。このロケ地を思いついたのは斬新だ。和歌山も彼らと同じある意味弱者だからだ。
ソワレとは夜の部の演劇を言う。昼の部のマチネは使われることが多いが、ソワレは当たり前なので言われることは少ない。この映画の題名ソワレとは一体全体どいう言う意味を成すのか。彼らの逃避行そのものが夜の部ソワレなんだろうか、、。
ラストまで見ていて、現代の若者の明暗をよく照らしているなあと思った。時々苛立つ時間もあれど、されどそれも映画なのだと自分を納得させて、見ていた。
ところがラストのラストで、ものすごいカウンターパンチを食らう。席を立てないほどの怒涛の涙。これこそ青春映画なんだなあ。うーん、忘れられない映画となる。
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