「カルネ」「アレックス」など数々のセンセーショナルな映画作りで話題性十分なノエの新作だ。今回はところが意外とおとなしい、、。
目立つのは言うまでもない延々と続く2画面分割。そのうち慣れるが最初はそのテリトリーをじっと深く見てしまう。
老夫妻、特に妻の認知症は急激に進み、そのやりきれなさ、おぞましさは観客をも道連れにする。ノエは60歳ぐらいだから、まだまだ傍観者の視点を保つことができているようだ。だからこそ、実に老残の混濁模様がクリアに描かれている。
息子もその妻も現代病クスリに侵されている。そのうちこの老夫も心臓病を病んでいることがわかる。そして、、。
救いは妻が薬を廃棄し、そして人間でなくなる前に自ら命を絶つところぐらいでしょうか。これがこの映画の唯一の灯だとすれば、やはりいつものノエ作品のおぞましさは十分発揮し得ていると思う。
若い人はぼんやりとした未来に、ノエの世代は近づく将来に、映画の老夫妻の世代は漆黒の未来に何を見て生きていくのか、やりきれない映画ではあります。
でも秀作ですねえ、、。
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