セントの映画・小演劇 150本

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サラエボの花 (2006/ボスニア=オーストリア=クロアチア=独)(ヤスミラ・ジュバニッチ) 70点

2008-01-09 18:44:38 | 映画遍歴
あの静かな美しい国・ボスニアがセルビアとの内乱で20万人もの人が殺されたという戦後のヨーロッパでは最大の悲劇を女性の視点から優しいまなざしで描いた愛の映画だ。
登場人物が美貌でもなく、普遍的な親しみのある俳優を起用したのがリアルでいい。娘も思春期の難しい年齢に達しており、父親の愛に飢えている切なさを好演。主人公の恋人も父親を亡くしている喪失感を持っており、この辺りの描き方はボスニアの現状を良く表している。
しかし、演出に鋭いところはなく、優しいまなざしを意識しているのかむしろ平板に思える。ストーリーに負っているのである。
主人公の出産の秘密が語られるシーンがこの映画の最大の見せ場であるが、この映画はこの部分に負いすぎていると思う。それでも尚彼女たちは明日に向かって生きてゆくといった希望めいたラストもいいが、何かふんわりし過ぎかな、、。
映画的にはもっと映像でボスニアの悲劇を訴えるべきではなかったかと思われる。
すべて女性の視点から描かれているので、われわれ男性からは気づかない何かがあったのかもしれないが、、。
問題提起は優れているだけに惜しいと思う。

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