こういう戦争映画にしては演出がしっかりしているせいか、最後までだれることなく映像は続いていく。戦闘機を使用したシーンも日本映画でよくある稚拙さはない。それはこの映画の主題が山本の脳裏にあるからだろうか、、。
僕の好きな半藤一利が原作である。だからか山本がスマートに見える。いくさ論より国民の命を守る平和論者に見える。アメリカとの対戦を躊躇する理由を日本国民のためとする。だから常に講和論が彼の脳裏をよぎる。映画ではそうなる。
原作は読んではいないが、でも本当に山本はそうだったのだろうか、と個人的には疑問が生じる。(原作者に対してとても失礼であるとは思うが、、)僕の中にある山本のイメージは作られたものにせよ硬派のイメージがあるからだ。この僕の小さな葛藤がこの映画の見る心地よさを邪魔していたように思う。
でもさすが、今好調の【成島出】、油が乗っているのが分かる。これだけ戦闘シーンが少ないのにもかかわらず(料理に舌鼓をうつシーンの方が多い)無駄なシーンが皆無と思える。(敢えて言えば重要なはずの死に出の視察シーンが意外と盛り上がらないというところか。)
でも太平洋戦争では実に300万人もの日本人が死んでいる。山本が生きていた時代はその10%だという。そういう意味で、講和論者であるならこの太平洋戦争の初動に加担した(阻止できなかった)山本の功罪はやはり重いのではないのか、と思うのである。
映画ではそれには直接に触れてはいない、、。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます