思春期のある出来事がその人の長い人生に烙印を押されることはあると思う。岩井は真正直にこの作品で、行きつ戻りつ結局は過去の光点に拘って、緩く回転し続けているようである。
驚くべきは、岩井のピュアな(そうに見える)思春期へのあこがれ、その永久感である。初期の作品群からのテーマ・イメージを30年近く経っても持ちこたえているその執拗さ。
彼の脳裏は今でも少年のみずみずしさ、すがしさが蔓延しているのか。それとも、徐々に薄れゆく少年性を保とうとして敢えて挑んでいるのか。
姉の同窓会に堂々と忍び込む冒頭の違和感と、小テーマである卒業式の答辞の文言のリフレイン(確か遺書も含め3度)には少々閉口したが、岩井ファンとしては彼の相変わらずのマニアック性を感得し、安堵感もあり。
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