芸術家の一生を描く伝記物であるのだが、朝鮮という国の哀しい歴史も平行に描いているから画面がきりりとしまっている。
ところどころに画家が彷徨する映像がやけに美しくそれだけで感動してしまう。
弟子の画家への愛情が一途でまた尊敬の念が著しくきっちり別れの時には土下座までする態度に感心。
**** . . . 本文を読む
面白いです。ヨーロッパ映画の60年代の雰囲気が漂っている。まさに韓国版ゴダール。ただし政治抜き。
セリフが日常的であり、しかし非日常なんだよね。脱力感が漂うが退廃的でもない。とぼけた感じで、人生への無力感も漂うがなかなか正直でよろしい。
いやあ、僕は大好きだ。だけどこの映画は好き嫌いが両極端だろうなあ。
**** . . . 本文を読む
E・ノートンってショーン・ペンに感じが似てきたなあ。彼は正道を歩めばいいと思っている。ショーン・ペンみたいに臭くならないで欲しいと思ってる。
で、今回の映画、ちょっと頭のヘンな男をノートンが演じる。「アメリカンヒストリーX]は熱演だったけれど、「25時」辺りから何か、偏執的な役にイっている。
彼は最近になく王道を行くハンサムなんだから、ペンのまねをしないでいいと思うのだけどなあ。
映画はサスペンス . . . 本文を読む
思ったよりかなり秀作であった。これだからやはり映画は見てみないと分からない。暗く重く痛い残酷な展開も終わってみれば明るさまで感じる爽快なイメージまで持たせてくれる。これはいい映画の持つ一律の条件もひとつである。
演技的にはやはり新井浩文が際立っている。収穫作のひとつ。
**** . . . 本文を読む
アメリカとは朝鮮にとって何なんだろう、というまずストレートなテーマが日本のそれとダブってしまう。隣国とはいえ、状況的にはまったく同じ。だが、政治的なテーマにしていないところがギドクの才能だろう。あの治療した目をまたつぶしてしまう女の子は谷崎の「春琴抄」だし、ハーフの男の子の心の慟哭もなぜか今村昌平風で日本的なものを凄く感じてしまった。
一番分かりづらかったのはその共通の友人であるが、それはギドク自 . . . 本文を読む
何度見たでありましょう、コングさま。やはり何回見ても最初のコングを思い浮かべてしまうのは仕方がないこと。
この映画、最初からものすごい速さで切り替えるシーンの贅沢なこと。1シーン1シーンがかなりの人を使っていてじっくり見てみたいと眺めるまもなくあっという間に次のシーンに変わる。ものすごい贅沢。かなリ映画を見ている僕でも最近そういうのはあまりお目にかからない。
ゾクゾクさせる出だしだし、映画を作り意 . . . 本文を読む
かなり完成された成瀬の夫婦劇。こういうのって分かるなあ。とても繊細で小さな事柄の積み重ねなんだけど、それが夫婦の会話(言葉)なんだよね。ちょっとしたことでも崩れてしまうし、ぎゃくにちょっとしたことで強く築き上げることが出来る。映像も、演出も、演技もすべて緊密で整然としている。この人間観察は恐ろしいほど明晰だ。
優しさ、明るさ、珍しく希望さえ見える。ひとつの成瀬の到達点。
**** . . . 本文を読む
あまりに図式的な構図に冷酷なものさえ感じるが、夫婦を問いつめていけばこうなるのは必至。でもそれは牙のようにも見えるがどの夫婦にも介在するものでもある。執拗な攻撃に辟易するも、だからこそ終わりを描かなかったんだろう。あの、放出したままのラストは成瀬の迷いなのか、敢えて結論を出さなかったのか、それとも結論に至るまでの過程そのものを描きたかったのか、、。
*** . . . 本文を読む
午後から外出して映画を見ようと思っていた。ちょっと中途半端な時間だったので、1本だけDVDを見て、新宿に行く予定だった。買い物もしたかった。
見始めた映画は「ラブストーリー」。何年か前に見たときは号泣したのを覚えている。
見始めてみると懐かしいというか、ピュアな少年時代に戻ってしまっていた。
人間、いつするか分からないが、人生を背負ってしまう恋愛というものはあるものだ。
それが10代か20代か、4 . . . 本文を読む
期待を上回る力作。アメリカから逆に芸者というものを勉強させていただきました。こういう感覚って「ラストサムライ」のときもありました。時代考証もかなり正確で、当時の家並みもCGなんだろうけど、スゴイです。
音楽が少しオーバー目なんだろうけどそのうち慣れてきます。でも、美しいし力強いね。ハリウッドという感じ。
映像が緊密で美しい。豪華だ。かなり好きな色合い。いいね。
演出がこれが小気味いい。きびきびして . . . 本文を読む
なかなか楽しい導入部から惹きつけるところが多いが二人の秘密が分かってからがやたらと長い。この映画って、こういうことがあったら面白いよねというほとんど「プロットがすべて」の映画なので、それ以降いくらアクションを付加しても新味がないわけ。
特にラスト近くあんな無防備で敵が上から狙ってるのに無傷のわけがなかろうに、、と、まあ粗を探せばきりがないが、この映画は充実した二人の俳優の演技を見るところに視点があ . . . 本文を読む
9.11以降の人間の悲しみ、生きるということ。一方、テロリストと戦うタカ派のベトナム病人。9.11とベトナムが同一線上に描かれるが、現象だけで深みはない。ヴェンダーズはこれを見る限り軟弱だ。アメリカが分からないのならアメリカを述べる資格はない。
あまりに視点が空虚なのでどっと疲れが出てしまった。ひょっとしたら僕とは波長が合わないだけかもしれないが、、。
** . . . 本文を読む
立派に不倫の映画なのである。人間、やってはいけないことなのである。でもだからこそ燃え上がるのである。止められないのである。行き着くところまで行ってしまいたいのである。めらめら燃える官能のほとばしり。だがこの映画、60年前とはいえ、嘘っぽい。こんなに燃えている二人なのに接吻がやっと。二人別れるなら、食事などせずに1度でいいから交合すべきだろう。そうでないと燃え尽きることもかなわないではないか。それと . . . 本文を読む
話の本筋でありそうに見えた家族愛はいかにも簡単にキリスト教条主義の前に崩れ去る。このキリスト教への支配主義批判は痛烈で、しかも執拗だった。
それでも人を信じてゆくといったラストのほのかな柔らかさはこの映画の唯一の救い。イギリス映画は今や社会の底辺を描かせれば今や世界トップ級の実力。一人一人の気持ちがよく描かれている。最後まで一気に見せる演出力、演技、すばらしい映像に拍手。
****
. . . 本文を読む
かなりのセンスのよさが伺われる出色のタイ映画。映像だけであれだけの政治状況を説明してしまうのはかなりの技術が必要。もうハリウッド並みになってるんだね。感心しました。
映像のカットも小気味よく映像自体の推進力になっている。アクション映画に必要なヤマも何回もあり、ラストの意外性と、また人間味も良い後味を残している。考えたら、この映画見終わってから考えたら女性が一人も出ていない。それなのに退屈しなかった . . . 本文を読む