登場人物が多すぎて最初は人間関係を読み解くのに汗かくほどで、どうなるのかなとも思ったが、話がきちんとコンパクトにショートした造りでカット作りがうまい。しかもビデオを並列した映像作りもなかなか面白く、このたいがい鬱陶しい話もうまく料理した感あり。
だいたい親子の会話と言えど棘があり優しさなんてこの映画ではてんで無関係。とことん家族の崩壊ぶりを突き詰めていく。それが今現生の人間どもを見つめる神の視線がごとく、、。
まともな人間が別れた夫に託した息子一人、だなんて言うのもこの映画の奇抜さを物語るが、この映画に出演する人間たちのほとんどが世界の終末がごとく枯渇して喘いでいるのを見るのは、ある意味滑稽で、少々神の意思まで感じるほど寓話的だ。
全体に流れるリズムも映画的になかなかよくこの映像作家のセンスを物語る作品である。これがデビュー作と言うからなかなか優秀な作家がまた出現したと言えよう。
ストーリーが暗すぎるからとか、話が人工的過ぎるとかそういう瑣末な批評はこの映画にはそぐわない。きちんとこの映画の輪郭を見てみようではないか。
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