007という超娯楽作にサム・メンデスを投入するハリウッド。確かに冒頭からの30分は従来の007を満喫できるも、その後は内省的な、人間を意識した007であることよ。これは今や、夢流離うノーランを意識するハリウッドの現地点を示すのか。
終わって見ればMの墓碑銘映画であることよ。ここ10年、Mがあの年でよくこらえているなあと思っていたのだ。長年007を見続けたファンとしては彼女の存在は嬉しい限りなのだが、彼女だけが数十年007の世界で生き延びている。やはり無理があるなあと思っていた。
そしてこの映画は彼女を007から抹殺するために作られたと言っても過言ではない。そう考えるとマイナー志向お得意のメンデスを使った理由も明白になる。立派なMへの捧げものである。ダニエル・クレイグ もハビエル・バルデムもそのための添え物に過ぎないのだ。
さて007は元の活劇に戻るのか、それとも今や流行りのノーラン風の芸術風映像迷宮世界に向かっていくのか。それはラストの新Mの登場で観客に明らかにされた通りである。
次作も期待!
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