PAMのお待たせ3本立て公演である。前回は何と4時間もの3本立てだったが、今回は大正浪漫映画、BOSUIとのライブ、そして谷崎原作の「或る男の半日」の大正時代の演劇という組み合わせでランタイムも2時間弱で観客にやさしい構成になっている。
全編通して、大正ものに挑戦しており、平成と大正とを見通すことにより現代を考えるといった主題がしっかりと貫かれている。
大正といえば僕も大正デモクラシーぐらいしか思い浮かばないが、明治から昭和に引き継ぐ重要な時代であったのは間違いない。さて、あと一年で終わることが決まっている平成は30年間で一体全体どういう時代であったのか、、。
映画、演劇を見た感覚ではそれほど大正を論じたものとは思えなかったが、僕でさえあまりイメージの湧かない大正を現代に引きずり出した功績はかなり秀逸。
ライブでは、思いがけず「500マイル」を聞けたが、これは僕の青春時代にアメリカのPPM(何と一字違い)というフォークグループのレコードを、擦り切れるほど聴いていたことを思い出す。BOSUIさんも涙が出そうだと言っていたが、僕も聴きながらジーンときて涙ぐんでいました。
真打「或る男の半日」の自堕落で無責任な作家にしても、芯には作家の自信があってのこその体たらくであって、昭和の無頼派とは一線を画している。そういう部分もきっちり抑えつつ、現代に通じる面白い作品になっていることにPAMのさらなる可能性を感じた。
期待中の練間氏の演技。やはりこの人はどこか奇異な人間を演じさせると、とてつもない力を発揮する。発声量が豊かなので、抑えた演技もいい。今回は少々コミカルな役柄だが、天然の大作家ぶりをよく演じる。主役が似合う役者なのである。
前回その練間氏を食ったワカンムリ氏、今回は随分まともな役で、少々もったいない。彼は声の伸びがいいね。次は冷凍うさぎに出演らしいから、楽しみが増える。
気候的にはまさに真夏。暑い大坂の夏。そんな中で、大正を考えつつ、まさにファン感謝デーとでも言うべき楽しい一日を過ごさせていただきました。
PAMの皆さん、ありがとうございました。
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