旗揚げ劇団だという。初日前日に主役の俳優がけがをして、急遽秀麿氏が代役をやる。秀麿氏は作、演出、主演と3役を行ったことになる。劇団側はこの代行で料金を下げる。
さて、劇はというと、これが思いもかけず秀作なのである。110分の長さ。カルト的なミステリー劇を最後の最後まで息もつかせぬ見事な脚本で乗り切った。この劇は、ほぼ脚本の出来で左右されるミステリーだ。
「特務情報保護下協力調査法」という特異な法律出現で、うまく味付けをしたが、まあこの内容なら、ちょっとした最近流行りのミステリーにそんなに遜色のない出来である。ここがまずすごい。
そしてみんなが心配していた精神医学者役の秀麿氏である。これがなかなかいい。セリフのとちりもほとんどない。しかも魅力たっぷりに鬼気迫る精神科医を体いっぱいに演じ切った。
彼の目の光り具合は異様に鈍く、本当に鬼気迫るとはこういうことを言うのではないかと思うほどだった。脚本を作ったからって、これほど完全にセリフを覚えられるものか。たった一日で。(一瞬、宮沢リエのあの電撃的代役の成功を思い出す。)
ラストもちょっとしたどんでん返しで、ミステリー的にも楽しめた。
凄い劇団が出現したものである。頼もしい。関西でうれしい劇団の出現である。その期待度に加点します。
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