とても普通で、身近で、だれもが経験する出来事をまともに根源的に思考し、見つめ直した作品である。
男は演劇を志しているという以外はごくごくそこらにいる若者である。女も男に収入がないものだから、残業までして働く頑張り女である。子供も生まれるが、男が主夫をしていて家庭を支えている。
女はどうして結婚などしてしまったんだろうと、自問する。気を紛らわせるために夫の他に関係する男もいる。夫は演劇を続けながら、子育てをする日常を生きている。
そういう若い二人のつぶやき、嘆き、喜び、哀しみを1時間で奏でる。
伴奏のピアノの音色も美しく、この劇団はやはりポエムを目指しているのだなあと思う。でも今回はいつもの柔らかいビビットなポエム的感情があまり生まれない。
それはこの現実という社会そのものを見つめているからだろう。
なぜ我々は今ここにいるのか。この家族という形態は何なのか。男と女の愛とは一体全体何なのか、を本質的に考える。
まともに考えるとポエムから離れる。ポエムではなくなってくる。
でも、いつかは向き合わねばならない時期が来たのだろう。そう、僕もむかしむかし自分を解体し、総括した時もあったっけ。
そんなことを考えさせる劇でした。そして女性が3人に増幅させるアイデアは面白いと思った。neco氏もまだまだ先の見えない道半ばなんだろうなあ、そうも思わせる演劇でした。
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