面白かったというと、この映画の場合不謹慎だと言われるかもしれないけど、50年前のあの当時のデトロイトの事情を、冒頭からじっくり描いているのがいいね。制動感のある手持ちカメラも軽快でいい。
争点のモーテル殺戮事件で、ちとスピード感も落ちるが、でもねちねちしつこいぐらいの描写は、この部分だけで立派に一本のホラー映画になり得る。
最初、略奪をしている黒人青年を後ろから不本意に撃ち殺してしまったから、この白人警官はちと頭に変調を起こしてるんだろうなあ、そんな人間の怖さもいやというほど感じさせる。
そして、なぜこうなるの、と観客の誰もが思う悪い方向へ映画は進みゆく。
これぞ、完全ホラーだね。見たくないけど、見てしまう。うまいよね、ピグローさんは。とにかく警官が悪徳だから、誰をもこの状況を止めることができないというこの世の地獄。
そして極み付けは、あのアメリカの裁判制度です。なんと、ここでは、真実なんかを封じてしまう仕組みになっていることを露見させる。これはす、す、すごいわ。
最近でも白人警官の黒人殺戮が社会問題になっているアメリカの現実。50年経っても全く変わっていないでっせ、と言いたかったんだろうなあ。そうだとしたら、あのアメリカンドリームって、そもそも存在していたんだろうか、って思ってしまうほど悲しい。
ピグローはアメリカを引ん剝くのが大好きであります。痛快です。
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